「名誉退職」――。こんな言い方の企業の大リストラが韓国の産業界で猛威を振るっている。2016年の経営が苦しくなるという見込みのもとでの「先手を打った危機管理」と説明するが、度を越したリストラに批判の声も強い。
「大企業『20代希望退職』、いくら苦しくても一線を守れ」。2015年12月18日、大手紙「朝鮮日報」にこんな見出しの社説が載った。
大企業の安易なリストラを戒めた内容だった。
新入社員も「希望退職」対象者に?
韓国ではそれほど、リストラの嵐が吹いている。中でも、最近大きな話題となったのが、財閥の有力グループ企業である斗山インフラコアの「希望退職」だった。
建設機械を主力とする同社は、中国景気の低迷や業界内の競争激化で経営環境は悪化している。
2015年に入って2月と9月に課長級以上、11月に生産職を対象に「希望退職」を実施した。830人以上をリストラしたが、これでも足りないと判断した。
12月に今年4回目の「希望退職」を実施した。「リストラは最後の手段。実施するのなら一気に」という一般的な考えとは異なり、人減らしを繰り返している。
4回目の「希望退職」は一般事務職が対象だった。
斗山インフラコアは、それほど業績が悪いのか。確かに4半期ベースでの営業利益は減っているが、黒字を維持しているのだ。にもかかわらず、これほどの人員削減だ。これだけでも、「やり過ぎ」と言われかねないのだが、今回の対象には2014年1月以降に入社した「1、2年生社員」が入っていたことから一気に批判が高まった。
いくら業績が悪化したからと言って、入社した社員にすぐ辞めて下さいというようなものだから顰蹙(ひんしゅく)を買うのも当たり前だった。