VWを笑えない日本のパチンコメーカー
世界に冠たる自動車メーカーとして君臨して来たフォルクスワーゲン(VW)社の地位が大きく揺らいでいる。きっかけとなったのは、言うまでもなく排ガス不正問題である。VWはアメリカの厳しい自動車排ガス規制をクリアするために、排ガスを計測する試験時のみ作動し、有害物質の排出量を大幅に減少させる「ディフィートデバイス」と呼ばれる不正ソフトウエアを一部の機種に搭載していた。
このソフトウエアは試験時のみしか作動しないため、実際の走行時には環境規制の40倍に上る窒素酸化物などを排出していたと考えられている。ディフィートデバイスが搭載されていた機種は1100万台にも上ると考えられており、AP通信社の解析によると、これらの機種から排出された排ガスはアメリカ国内において年間数十人を死に至らしめるレベルの公害だったと評価されている。
このようなVWの不正行為は当然違法であり、VWはアメリカ国内だけでも最大180億ドル(約2兆1600億円)となる巨額の制裁金を課される見込みで、さらに消費者の離反や訴訟も相次ぎ、各地で違法に蓄積した莫大な利益を掃き出すことが求められている。
リーマンショック以降、VWは急速に業績を伸ばし、2015年の上半期は自動車メーカーとして世界最高の売上台数を達成した。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだったが、今では経営陣の刷新が余儀なくされ、同社が推し進めてきた「クリーンディーゼル」という戦略自体の転換が迫られるなど、経営の根幹が揺らいでいる。一言で言えば不正行為による違法な利益で繁栄してきたツケを取らされようとしているのだ。
実はこうしたVWの現状を対岸の火事として笑えない業界が日本でもある。それは「パチンコメーカー」だ。我が国においてパチンコは長らく「国民の娯楽」として親しまれてきており、その市場規模は20兆円にも上る。そしてそのパチンコ業界の中枢にある大手パチンコメーカーは、毎年、数百億~1000億円超の売上を誇り、軒並み上場も果たしている。
しかしながらこのように繁栄を誇る日本のパチンコメーカーも実はVWと非常に似た不正を繰り返しており、違法な利益で潤い続けているのだ。
型式試験をくぐり抜けるパチンコメーカーの違法手口
やや複雑になるがその構造について説明しよう。