建設が中断された営口市にあるマンション(筆者撮影、以下同)

 この11月に中国遼寧省営口市を訪問する機会があった。

 営口市は大連の北方約200キロメートルに位置し、渤海湾に面しており、昔は漁港だったそうだ。市の人口は230万人とされるが、それは周辺部を含んだものであり、中心部の人口はその10分の1程度。中国のどこにでもある都市と言ってよいだろう。

わずか3年でできた新幹線

 営口へは大連から新幹線で行った。乗った車両は外観も内装も日本の新幹線によく似ていた。真似したのであろう。切符を買うのに外国人はパスポート、中国人は身分証明書が必要であり、乗る際には空港と同じように荷物検査があった。ただ、それほど厳重ではなく、係員の態度はおざなり、また身体検査はなかった。

遼寧省 営口市

 車内にメーターがあり、スピードが乗客にも分かるようになっていた。最高速度は毎時300キロメートルを記録したが、その際にも大きく揺れることはなく、まあ快適な旅だった。大連から営口まで約1時間。

 驚いたことに、大連と営口を結ぶ新幹線が2本ある。海沿いと山沿いの2路線。どちらも2010年以降に完成したと言っていたから、リーマン・ショック後の景気対策で急遽建設されたと思われる。だた、海沿いを走る列車は少なく、1日に数本。明らかに必要のない路線であり、過剰投資と言ってよい。

 人々が新幹線が作られるという話を聞いてから3年程度でできてしまったという。日本をよく知る中国人は、新幹線を作ると言ってから完成するまでに30年程度を要する日本とは、スピード感が全く異なると言っていた。独裁国家の強みだろう。