石炭火力発電を巡る日本の姿勢に国際的批判が集まっている。
背景となっているのはCOP21だ。いわゆる京都議定書が終了した2012年以降、度々の会議が決裂し、現在、温室効果ガスの削減に向けた拘束力のある国際的な枠組みが存在しない状況にある。こうした中で2015年12月に開催されるCOP21は、「ポスト京都議定書」となる新たな枠組みを決める極めて重要な会合と見られている。
COP21に向けて日本への批判が噴出
そこで10月にこの前段階となる作業部会がドイツで開かれたのだが、ここで日本の姿勢に対して大きな批判が集まった。理由は「温室効果ガスを大量に排出する石炭火力を国内に新設・稼働し、さらに新興国に輸出しようとしている」というものである。
石炭火力発電は天然ガス火力発電の2倍を超えるCO2を排出するとしてG7各国では廃止の方針が打ち出されている。だが、日本は国内外で新たな石炭火力発電所建設を予定しており、これに対して国際NGOを中心に批判が集まった。
拡大画像表示
現状の石炭火力発電とLNG火力発電の技術水準を比べると、発電効率は前者が40%弱、後者が52%程度、CO2排出量では前者が820g/kWh、後者が340g/kWhと環境団体の指摘は正しい。
将来的な見通しでも石炭火力は超々臨界圧方式(発電効率46%、CO2排出710g/kWh)、石炭ガス化複合発電(発電効率46~50%、CO2排出650g/kWh)、石炭ガス化燃料電池複合発電(発電効率55%、CO2排出590g/kWh)と発展していくことが見込まれているが、それでもLNG火力発電には遠く及ばない。