米中首脳、サイバー攻撃抑止などで合意も人権・領有権で意見に相違

ワシントンにあるホワイトハウスのローズガーデンで、共同記者会見に向かうバラク・オバマ米大統領(右)と中国の習近平国家主席(2015年9月25日撮影)。(c)AFP/YURI GRIPAS〔AFPBB News

 米国海軍による南シナ海での「航行の自由」作戦(Freedom of Navigation Operation:FONOP)の発動が「やるか、やらないか」から「いつやるか」に転換し、ついに10月27日、それは実行に移された。

 9月下旬の習近平訪米で、南シナ海での人工島建設など中国の一方的な現状変更についてオバマ大統領は強い懸念を示し、軍事施設建設の中止を求めた。それに対し、習近平主席は一切の妥協を拒み、「南シナ海は古来、中国の領土である」という従来からの主張を繰り返し、軍事施設建設も中国の主権の範囲だとした。

 南シナ海問題で中国が一歩も引かない態度に出たことによって、ついにオバマ政権は「航行の自由」作戦実行に舵を切らざるを得なくなった。

 米国は南シナ海では2012年以来、この種の行動を控えてきた。今年5月、米CNNのクルーを載せたP-8ポセイドン哨戒機が中国の造成した人工島に接近したところ、「中国の軍事警戒圏に接近している。とっとと出て行け」という無線が送られてきた。その模様は当然ながら報道され、国防総省が「航行の自由」作戦を実行する必要性をホワイトハウスに上げたが、中国を刺激することを恐れ、習近平主席との首脳会談に期待をしていたオバマ政権がこれを抑えてきたという経緯がある。

 しかし、ここに来ていよいよオバマ政権も重い腰を上げざるをえなくなった。10月8日、米紙「ネイビータイムズ」が、中国が建設した南シナ海の人工島で中国が主張する領海12カイリの内側に艦船を送るべく米海軍が準備を進めており、「オバマ政権の最終的な承認を待っているところ」だと軍関係筋の情報として報じていた。