汚職容疑者が自殺した場合は検察官に罰則、中国

中国の反腐敗運動はいつまで続くのだろうか。北京市内にはためく中国国旗(2015年7月9日撮影)。(c)AFP/GREG BAKER〔AFPBB News

 10月28日付のブルームバーグが、中国の反腐敗運動が金融界を狙い撃ちしていることを伝えている。

 中国の反腐敗運動を主導する共産党中央規律検査委員会は、10月23日に発表した声明で、中国人民銀行や中国工商銀行をはじめとする中国5大銀行、政府系ファンドの中国投資(CIC)、国家開発銀行、上海・深セン両証券取引所、中国銀行業監督管理委員会、中国証券監督管理委員会(証監会)、中国保険監督管理委員会など31機関を、不正行為または汚職の可能性をめぐる検証の対象として挙げたという。

 2012年11月の習近平総書記就任直後から、党内の「腐敗分子」をあぶり出す反腐敗運動が開始された。「ハエ(小物)もトラ(大物)も叩く」との宣言どおり、元政治局常務委員の周永康や人民解放軍の最高幹部だった徐才厚らが摘発された。

 これまで「石油閥」や「電力閥」などにメスが入れられてきたが、金融業界が公式にターゲットになるのは初めてである。

 中央規律検査委員会は、第13次5カ年計画(2016~20年)について討議する第18期中央委員会第5回総会(5中総会)の開催直前という微妙な時期に、あえて声明を出した。国家行政学院の竹立家教授はそのことについて、「中国経済に対する下振れ圧力が強まる中、腐敗した金融システムは中国の経済的な安全保障を脅かす恐れがある」からだとしている。

反腐敗運動が中国経済の減速をもたらした

 中国政府は6月中旬からの株価暴落以降、その犯人捜しに躍起になっていた。8月末には、中国最大の証券会社である中信証券や証監会の幹部が株価暴落を招く不正行為を自供したとして拘束された。また、中央規律検査委員会が声明を発表した10月23日には、大手証券会社である国信証券総裁が自殺し、翌27日には証監会上海先物取引所の元理事長が職務怠慢などを理由に解任された(10月29日付「大紀元」)。