韓国政府は2015年8月13日、日本の植民地支配が終わった光復節70年を機に大統領特別赦免と行政処分減免を14日に実施すると発表した。対象は、合わせて220万人に達する。注目を集めた財閥首脳の特赦は、SKグループの崔泰源(チェ・テウォン=1960年生)会長1人だけだった(2015年7月27日付「韓国で独立70周年に『100万人特赦』へ」参照)。
崔泰源会長は、会社のカネを使って個人の投資の損失を穴埋めしたなどとして横領などで有罪判決を受け、収監されていた。
懲役4年の実刑判決を受けてすでに2年6カ月も「檻の中」の生活をしていた。
刑の執行免除と特別復権を受ける。前科の記録は残るが、晴れて自由の身になる。復権することで企業の登記理事(取締役に相当)に就任することも可能になる。
SKグループ、大型投資と雇用拡大発表?
韓国紙デスクは、「崔泰源会長を特赦の対象に含めたことは、『経済活性化に努力しろ』という意味だ。近く、半導体大手のSKハイニックスで大規模投資計画の発表があるだろう。雇用拡大についても何か手を打つはずだ」と語る。
特赦についての政府発表資料には、「経済人は厳正に選定し、国家経済に寄与できる機会を提供することで経済活性化に活用」することが狙いだと説明する。
特赦を受けたのだから、それなりに経済に貢献する姿勢を示さないと世論も納得できないだろう。
SKグループは、「総帥の特赦」に備えて事前に準備をしていたはずだ。崔泰源会長は特赦後、時間をそれほど置かずに「経済活性化のために陣頭指揮をとってがんばる」という姿勢を打ち出すことは確実だ。
兄弟で明暗
崔泰源会長にとってはもちろん、待ち望んでいた特赦だった。韓国の財閥総帥は経済犯罪で実験判決を受けても比較的短期間で特赦を受けてきた。2年6カ月の服役はあまり例がない。
ただ、一方で、失望感もあるはずだ。というのも、同じ犯罪で起訴され、3年6カ月の実刑判決を受けて2年3カ月間服役している実弟でグループナンバー2の崔再源(チェ・ジェウォン=1963年生)副会長が特赦の対象から外れたからだ。