日韓のロッテグループで親子兄弟を巻き込んだ経営権を巡る紛争が起きた。韓流ドラマよりもドラマチックだ。家族内での経営権を巡る争いは、強力なリーダーシップが売り物の韓国財閥のもう1つの顔でもある。
ロッテの紛争については、韓国でも大きな関心事だ。
紛争が明らかになった7月28日の午後からはテレビのニュースで大きく報じている。
29日、30日も朝刊各紙が1面と3面などを使って詳細に報道を続けている。
これだけの関心を引くのは、ロッテが韓国でもトップクラスの財閥だからだ。2015年4月1日に韓国の公正取引委員会が発表した大企業集団の資産規模ランキングによると、ロッテグループの資産規模は93兆4000億ウォン(1円=9ウォン)。サムスン、現代自動車、SK、LGに次いで第5位の財閥だ。
さらに創業者と息子2人のドラマチックな攻防でいやでも関心を引いてしまう。
車椅子の父親を連れて東京で「クーデター」
日本でも詳しく報道されたが、簡単に振り返っておく。
2015年7月27日。ふだんはソウルにいるロッテ創業者の重光武雄(辛格浩=シン・ギョクホ)氏が、突然、東京・新宿にある日本のロッテホールディングスに現れ、取締役を集めた。
同行した武雄氏の長男である重光宏之(辛東主=シン・トンジュ、1954年生) 氏が全員の解任を宣言した。韓国の一部テレビは、武雄氏が「よろしくお願いします」と語ったと報じているが、真偽は不明だ。
「解任対象」には、わずか10日前の7月16日にロッテホールディングスの代表取締役副会長に就任したばかりで、武雄氏の次男である重光昭夫(辛東彬=シン・トンビン、1955年生)氏も含まれていた。