番組開始から180回目を迎えた今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(2月8日放送/Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)では、4週間ぶりにナビゲーターを務めた中山泰秀氏が日本人拘束事件などについて語った。

従来のテロリストグループとは全く異なるISIL

ヨルダン首都で大規模デモ、イスラム国への報復を求める

ヨルダンの首都アンマンで行われた、カサスベ中尉を殺害したISILへの報復を求めるデモ ©AFP/KHALIL MAZRAAWI〔AFPBB News

中山 中東で起きた日本人拘束事件で、私は外務副大臣としてヨルダンの首都アンマンに設置された日本大使館の現地対策本部長を仰せつかり、17日間任務にあたりました。

 残念ながら後藤健二さん、湯川遥菜さんのお2人を生還させることができず、力不足を悔むとともに申し訳ない気持ちでいっぱいです。お2人に哀悼の誠を捧げ、心からご冥福をお祈り申し上げたいと思います。

 また、今回のような事件が二度と起こらないための対策を講じる必要性を改めて強く感じています。そのためにはまず、いわゆるイスラム国(ISIL)がどのようなテロリスト集団なのかを理解することが大切ではないでしょうか。

 過去にも多くのテロリストや過激派集団が存在し、数々の凶悪事件が発生しましたが、ISILは今までのどのテログループとも似ていません。

 例えば昨年12月24日、空爆作戦中に墜落して拘束されたヨルダン軍パイロットのモアズ・カサスベ中尉を1月3日に焼殺したとする映像を、ISILはまるで映画のように仕立てて2月3日にネット上に公開しました。

 さらに映像のエンドロール部分には、空爆作戦に参加した他のヨルダン人パイロットの顔写真や自宅住所などを掲載し、懸賞金まで付けて殺害を呼びかけました。ISILはカサスベ中尉の殺害から映像公開までの1カ月間、映像を作り込んで周到にその準備をしていたことになります。

 昔から誘拐や脅迫などの犯罪手口は数多くありましたが、彼らはそれに加えてITやデジタル技術を高次元で融合させ、プロフェッショナルな映像技術等を駆使して世界中に自らの主張を発信して脅威を与えている。言うならば、“デジタルとアナログを組み合わせた犯罪”を行っているのがISILの最大の特徴だと言えます。

世代を超えたテロの連鎖を断ち切れるか

 日本政府は、イスラム国を名乗る過激派組織を「ISIL」もしくは「いわゆるイスラム国」と呼称しています。アラビア語では「ダーイッシュ」とも呼ばれますが、彼らがやっていることはイスラム教の教義とはまったく相容れません。