韓国とブラック企業、このキーワードが重なったのが大きかったようだ。今週の1位は1月15日公開のアン・ヨンヒさん「恐れを知らぬ韓国のブラック企業とブラック住人」がトップに輝いた。

ユニクロ"残酷工場"にも非常に高い関心

今週のランキング
順位 タイトル
1 恐れを知らぬ韓国のブラック企業とブラック住人
2 「絶対に総理大臣にしてはダメ」な人物の比例復活
3 いよいよ終焉に向かう太陽光発電バブル
4 2015年の中国をこれまで以上に注意深く観察しなければならない理由
5 テロがフランスに突きつけた重要な選択
6 技術革新著しいレーザー兵器、その現状と課題
7 謎多き墜落事故で揺らぐエアアジアの日本市場”再起”
8 いつまで続く韓国財閥の世襲経営
9 朝日新聞は現実を直視せよ、軍事力増強に使われてきた対中ODA
10 岸信介から安倍首相に受け継がれる「国家資本主義」の遺伝子
11 ロシア:孤立の危険性
12 制御不能の原油安、国際石油市場で何が起きているのか?
13 パリのテロ容疑者は仏メディアに何を語ったか
14 “迷走”民主の明日なき代表選
15 テロリスト量産装置と化した米軍のドローン
16 中国の「日本オタク」は著作権意識が高かった
17 ついに始まった日の丸戦闘機開発、防衛以外の利点も
18 シャルリエブド襲撃:パリのテロをどう見るか
19 テロリストの蛮行に屈しない世界の漫画家たち
20 アフリカ経済:「資源の呪い」の黄昏か?

 38歳で実質定年を迎えるとも言われる韓国社会が日本以上に厳しいことはよく知られており、記事にあるような企業の労働搾取はある程度想像できる。

 それでもこの記事がよく読まれたのは、「韓国よお前もか」という、国を問わず共通した社会問題に対する関心の高さではなかろうか。

 東洋経済オンラインの1月16日配信記事「ユニクロ"残酷工場"で何が起きているのか」も非常によく読まれているようで、ブラック企業に対して、社会は非常に厳しい目で見るようになっている。

 かつて日本では、企業はきちんと監視しておかなければ法の目をすり抜けたり、分からないように法を犯して利益を得る存在である、というのが半ば常識だった。

 私も記者として駆け出しの頃はよく先輩に言われたものである。

 しかし、日本が高度成長期の「安くて良い製品を大量に」から「高くても付加価値の高い製品へ」と構造転換が図られる中で、そうした"常識"は薄れていった。

 実際、企業を記事として取り上げる大手経済メディアに長年在籍してきた経験から感じるのは、バブルが崩壊した1990年以降、それ以前と比べて企業の不正を叩く記事が少なくなってきたことだ。

 社員を単純作業をこなす労働力としてしか扱えない企業は競争力を失い、逆に社員のモラールを高め知恵を引き出す企業が競争力を増した。

 そうした変化が起きていた中では企業の不正に目を光らす記事が減るのは当然の結果だったのかもしれない。

 しかし、長引くデフレと国際化によって"過去の遺物"が蘇ってきた。それが昨今、批判にさられているブラック企業なのだろう。社会の変化が創り出した産物とも言える。

 米ゼネラル・エレックトリック(GE)は、同社が大きな問題を引き起こしたとき、就任3年目だったジャック・ウエルチ元最高経営責任者(CEO)が断行した経営方針の転換によって、世界の最優良企業の名を得たと言っても過言ではない。

 世界的名経営者とは世の中の変化に最も敏感な動物なのだと思う。