新年を迎えた韓国では年末から続いている暗いニュースが尾を引いている。まずは、国際的にも報道されてしまった「ナッツリターン事件」。

 この事件をきっかけに韓国では「甲の横暴」について敏感になっている。

「私の何がいけないの!」

「ナッツ事件」の大韓航空前副社長を起訴、韓国検察

ソウル地検に出頭した大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョンア)前副社長〔AFPBB News

 ここで言う「甲」とは、相手に対し強い立場にいる人のことで、法律上「甲」と称される人たちのことである。

 ナッツリターンに関しては、チョ・ヒョンア前副社長が逮捕されたが、警察の取り調べで「私の何がいけないの!」と供述したということで、市民たちからまたもバッシングされている。

 実はナッツリターン事件の前にもう1つ韓国社会を震撼させた事件があった。

 ソウルの高級マンション(狎鴎亭洞の新現代アパート)の警備員(守衛)が住人の侮辱的な処遇に耐えられずアパートの敷地内で焼身自殺を図ったのだ。この守衛は一命を取りとめたものの、約1か月後に火傷の後遺症で亡くなった。

 遺書や同僚の守衛たちの話によると、そのアパートの住人のうちの1人(60歳の女性)が分別収集してあるゴミを漁っては、違うモノが入っていると指摘したり、5階から賞味期限の切れた食品を投げては拾って食べろと強要したりと、人間としての尊厳を傷つけるような仕打ちを続けたという。