(2015年1月9日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 ミンスクからモスクワへ向かう幹線道路。ベラルーシ側から国境を越えたことを示す大きな標識には、「ロシアへようこそ」と書かれている。だが、ベラルーシの町オルシャから来たトラック運転手のロマンさんは、標識の下を通過しながら皮肉っぽく鼻を鳴らす。

 何しろ、ロシアの町スモレンスクにソーセージを運ぶ彼の大型トラックは、ベラルーシの税関に1時間も止められたばかりだ。

 ロシア、ベラルーシ、カザフスタンの3カ国が貿易円滑化を図るために国境での検問を廃止してから3年以上経った今、ロシアに渡る最大の検問所であるクラスナヤゴルカにベラルーシの税関職員が戻って来た。検査官は綿密で、凍てつくような風が背中に雪を吹き付ける中で、ほぼすべての車両をチェックする。

 「この国境はほぼ消えたも同然だったが、今では非常に厳しくなった」とロマンさんは言う。「選択肢があったら、もうここには来たくない」

正式発足したばかりのユーラシア経済連合にいきなり亀裂?

プーチン大統領、ロシア独自のカードシステム開発に意欲

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領〔AFPBB News

 本来こんなはずではなかった。ロマンさんが税関で止められる4日前の1月1日、ユーラシア経済連合(EEU)が正式に発足した。EEUは加盟国3カ国の関税同盟を、単一市場を持ち、いずれは単一通貨まで備える地域の国家クラブに拡大させるプロジェクトだ。

 今年、アルメニアとキルギスタンが加盟するが、ロシアは最終的に大半の旧ソ連諸国を取り込みたいと考えている。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にとって、これは経済だけに限らない、ずっと大きな問題だ。

 プーチン氏は、同氏がソ連を再建しようとしているとの見方を繰り返し否定してきたが、かつてソ連を構成していた共和国は共通のインフラと地域的な専門性、文化を共有しており、各国はこれを共同開発の資源として利用すべきだと語っている。

 「我々は、現代世界の1つの極となり、欧州とダイナミックなアジア太平洋地域を結ぶ効率的な架け橋の役目を果たすことのできる強力な超国家同盟を提案する」。プーチン氏は2011年にこう書いた。