日本が3回目の「失われた10年」に突入するかどうかという瀬戸際にある中で、恐るべしは韓国企業である。テレビで長らく世界一を続けてきたソニーをサムスン電子はあっと言う間に抜き去ってしまった。
長年の悲願だった日本市場をこじ開けた韓国ブランド
現代自動車の躍進も凄まじい。自動車で家電で半導体で、また造船や鉄鋼で、今や日本企業は韓国企業の後塵を拝すか、あるいは近い将来にその可能性が高い状況に追い込まれている。
そして、韓国ブランドはついに日本メーカーにとって最後の牙城とも言えた日本市場すらこじ開けてしまった。
今まで、サムスン電子や現代自動車、LG電子などが何度、日本市場に挑戦したことだろう。しかし、日本市場ではブランドを浸透させることができず、その都度、撤退の憂き目を見てきた。
世界一品質に厳しい日本市場では、韓国ブランドの成功は不可能。韓国企業の間では、そんな“迷信”さえ生まれていた。
しかし、時代は変わったようだ。新しく登場したスマートフォンの「ギャラクシー」は、瞬く間に日本のスマートフォン市場でトップに躍り出た。またLEDバックライトの液晶テレビなどでも、韓国ブランドが日本市場の中で違和感なく受け入れられ始めた。
おそるべし韓国企業
市場とはダムに似ている。一度、針の穴が開いてしまえば、あとは決壊に向かって進むだけである。世界市場を席巻し始めた韓国メーカーが日本市場も世界と同じようにその傘下に収める日もそう遠くないかもしれない。
恐るべし韓国企業。その躍進の原動力とはいったい何か。その秘密を知るのに格好の本が発売された。タイトルはずばり、『おそるべし韓国企業~日本がサムスンに勝てない理由』。
著者はJBpressのコラムでもお馴染みの野口透氏。サムスングループ会長など韓国の財閥トップに深く食い込み、財閥トップからの信認も厚い。韓国経済に関する情報量で野口氏に勝る日本人ジャーナリストはまずいない。その彼がこれまでの取材を基に書き下ろした渾身の1冊である。
まずはサムスングループの李健熙会長からサムスン電子の経営を任されている崔志成CEO(最高経営責任者)兼社長の威勢のいいコメントから紹介しよう。