7年がかりの調査でも文書は見つからず
7年もの歳月をかけたこの調査には連邦政府の資金3000万ドルが投入された。膨大かつ詳細な調査結果は、議会あてのIWG最終報告としてまとめられた。約160ページにのぼる最終報告によると、調査対象となった未公開や秘密の公式文書はなんと総計850万ページにおよび、そのうち日本の戦争犯罪に関わる文書は14万2000ページだったという。
日本に関する文書の調査対象は、捕虜虐待、民間人殺傷、化学・細菌兵器、そして慰安婦問題など5項目だった。それらの案件に関する文書が見つかった場合はすべて報告することが求められた。対象となった記録の期間は1931年から1945年までである。対象範囲も対象期間も実に大規模な戦争犯罪再調査だった。
慰安婦問題については、調査開始時点で以下のような指示が出ていた。「いわゆる慰安婦プログラム=日本軍統治地域女性の性的目的のための組織的奴隷化」に少しでも触れる文書が見つかれば、その内容を精査して、報告し、公表すること、という指示である。
しかし7年近くの歳月と米国政府関連諸機関の全精力を投入しても、慰安婦関連の文書を発見することはできなかった。
同報告では、発見された文書の代表例として、戦時中の日本の官憲による捕虜虐待や民間人殺傷の報告が数十件列記されていた。だが、日本とドイツの戦争行動についての850万ページの米側公式記録、さらには日本の戦争犯罪に関する14万ページの米側公式記録のなかに、慰安婦に触れた記録は1ページもなかった。慰安婦問題に関する犯罪性や強制性に触れた資料は1点もなかったのだ。
「抗日連合会」に対して弁解する調査リーダー
最終報告の序文で、IWGの委員長代行だったスティーブン・ガーフィンケル氏は調査結果について「失望」を表明していた。