「日本軍が女性20万人を組織的に強制連行し、性的奴隷に貶めた」という慰安婦問題に関する日本への糾弾が歴史的な冤罪であることを、何度もこのコラムでも報じてきた。実は、その糾弾が虚構であることを証明する有力な資料が米国政府側にも存在する。その事実を改めて報告しよう。

 日本側でもちらほら報じられるようになったが、詳細を伝えたい。日本側としては、慰安婦問題での濡れ衣を晴らす決定的証拠の1つとして、この資料こそを対外発信の柱とすべきなのである。米国や国連でなお「日本軍は組織的に女性たちを強制連行した」と主張する側にとっては、まさに「不都合な真実」だと言えよう。

 その決定的な証拠とは、米国政府によるドイツと日本の戦争犯罪に関する大規模な調査の結果である。この調査結果は「ナチス戦争犯罪と日本帝国政府の記録の各省庁作業班(IWG)アメリカ議会あて最終報告」というタイトルで2007年4月に公表された。

 結論を先に述べると、次のようなことが明らかになった。米国政府の各関連省庁や軍部は7年がかりの大規模な調査を実施し、「日本軍の慰安婦に関する戦争犯罪や女性の組織的な奴隷化に関連する文書」を探し出そうとした。しかし、その種の主張を裏づける政府や軍の文書はただの1点も発見されなかったのである。

 これほど明確な証拠もないだろう。米国の慰安婦問題糾弾勢力がこの証拠の存在について沈黙を保つはずである。むしろこの公開の資料にあえて言及せず、その存在を隠してきた気配さえある。だからこそ、慰安婦問題の核心に触れるこの調査結果が7年も前に公表されながら、これまでの議論の過程では話題にはならなかったのだと言える。

調査対象はドイツと日本の戦争犯罪

 では、なぜそれがいま光を浴びるのか。

 慰安婦問題との関連でこのIWG報告の存在や意味を最近になって世に知らしめたのは、米国の著名な軍事ジャーナリストのマイケル・ヨン氏を中心とする調査班である。ヨン氏の取り組みについては当コラムの記事(「米国の著名ジャーナリスト 慰安婦問題の真実解明に着手」)ですでに報告した。