飢えたサルはなぜ長生きしたのか?
明らかになってきた長寿の体内メカニズム

エネルギー摂取制限と長寿の研究(前篇)

2014.12.12(Fri)漆原 次郎

――そもそも、絶食が長寿につながるというのは、どうしてなのでしょう?

古家 生物の歴史のほとんどは、飢餓の時代です。人類についても、稲作などの農耕がまだされていなかった時代は、動物や魚を狩猟しなければなりませんでした。そうした過酷な状況では、生き延びるためにサーチュイン遺伝子が活性化されたわけです。

――現代は栄養過多の時代で、どちらかというとサーチュインの活性が少ない時代ですよね。それにもかかわらず、平均寿命が伸びているのはどうしてですか?

古家 それは、いろいろな病気で亡くなったり、生まれて間もない乳児や新生児が亡くなったりすることが改善されたからです。サーチュインがあまり働かなくとも、医学の進歩により長寿になったとお考えいただければよいと思います。

人もエネルギー摂取が減るとサーチュインが活性化

――「NHKスペシャル」で紹介されていましたが、古家さんは、人でもエネルギー摂取を制限するとサーチュインが活性化するかを実験で調べたのですよね。

古家 そうです。人についても、エネルギー摂取を制限すると、サーチュインが活性化することを確かめることができました。番組でも放映されましたが、糖尿病患者さんに指導するくらいのエネルギー摂取制限を、ボランティアの方々に7週間、試してもらいました。

 例えば、1日2000キロカロリーのエネルギーが必要と推定される女性には1日1500キロカロリーに、また、1日2400キロカロリーが必要とされる男性には1800キロカロリーにエネルギー摂取を抑えてもらいました。飢餓状態になるほど極端なエネルギー制限ではありません。

 実験開始から7週間後、主要なサーチュインである「SIRT1」の活性が、試験前より4.2倍から10倍、増えました。ほかに体重減少も見られましたが、その内訳では内臓脂肪がもっとも減り、トータルでも脂肪重量が減少したなどの結果となりました。

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