マクドナルドの本当の勝負はこれからだ

規模の追求から次のフェーズへ──味の社会学(第14回)

2014.10.23(Thu)菅 慎太郎

 マクドナルドは消費者の反応を受けて、調達先をタイなど他の国にシフトすると同時に、「安心」を取り戻すため、検査体制の強化や、さらなる情報公開に努めています(詳細は同社のホームページを参照)。製造工程や細かい生産プロセスまで公開し、スペックを満たす「安全」だけではなく、消費者に納得できる「安心」を目指そうとする意思が伝わってきます。

 しかし、同社はこうした迅速な取り組みと体制の構築をもってしてもこの夏は非常に厳しい戦いを強いられ、2012年12月末の連結税引き後利益が170億円の赤字になる見込みを発表しました。来年には消費税のさらなる増税の可能性があり、食費の抑制が加速するかもしれません。

 市場の変化に適応しようと構造転換を図っていたなか、マクドナルドに突然「安全・安心」の問題が降りかかりました。マクドナルドはこのままファストフード業界の中で沈没してしまうのでしょうか。

ライバルとの競争はもはや意味がない

 外食産業の市場規模について調べてみると、「日本フードサービス協会」「食の安全・安心財団」の発表によれば、平成25年(暦年)には、世帯1人あたりの外食支出や法人交際費増加が予想され、前年比2.9%増の23兆9046億円と推定(平成26年6月発表)されています。

 消費税増税による負担よりも、世帯人数の減少やライフスタイルの変化のほうが影響要因としては大きいと見ているようです。単身世帯が多くなることで家庭での調理需要が落ち込み、外食や惣菜への依存率が高まっていくのは、これからの長期トレンドとして想定され得ることです。

 ここで注目したいのは、外食産業のなかで勝ち負けのはっきりとした差が出てきているということです。先の統計では、給食主体部門における「そば・うどん店(立ち食いそば含む)」は対前年比7.1%増加と著しい伸びを示す一方、ファストフードが含まれる「その他飲食店」は、同1.3%減と苦戦をしています。

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