マクドナルドの本当の勝負はこれからだ

規模の追求から次のフェーズへ──味の社会学(第14回)

2014.10.23(Thu)菅 慎太郎

 これらの数値を見るに、ファストフード業界のなかで「ライバルに打ち勝つ」ことを目指す「競争」はもはや意味がありません。打ちたてのうどんと出来たての天ぷらが手頃な価格で食べられる丸亀製麺のように、時代の中で「お客様が何を求めているか」という、業種を問わない本質的な価値を模索する視点が重要になっています。

 また、「(消費者は)食費にいくら出すのか」「趣味と食費のどちらにお金を使うのか」という根本的な問いにまで真摯に向き合うことが、消費拡大の戦略を描く上でのポイントとなります。競争相手は「ライバル」ではなく、いまや「消費者」なのです。

「とんかつマックバーガー」のソースを消費者と一緒に開発

 企業が商品を通して作り上げる価値は、もはや一方的に消費者に提供されるものではありません。

 元ミシガン大学ビジネススクール教授のC.K.プラハード氏は著書『コ・イノベーション経営:価値共創の未来に向けて』(東洋経済新報社)のなかで、共に価値を創っていく「共創(きょうそう)」を提唱し、企業と消費者の新たな関係性のあり方を提唱しています。

 この夏からマクドナルドは、今春に発売した「とんかつマックバーガー」のソースを消費者と一緒に作る「共創プロジェクト」をスタートさせました(みんなのとんかつソース研究会)。これまで、非公開で進められていた「商品開発」を消費者と共につくるという大きな決断のもとにプロジェクトが進められています。

 ここで重要な点は、消費者に提供する商品の「価値」を、消費者と具体的にすり合わせていく「コミュニケーション」です。

 いまや商品の原材料はグローバルに調達され、安全基準や衛生管理のスペックも、オペレーションのチェックポイントも膨大な量となり、商品についての「情報の非対称性」は消費者から企業の側に大きく偏るばかりです。消費者は「品質を満たしている」というスペックを示されても、納得する「安心」にはならないのです。

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