果物を食べなくなった日本人

消費量は欧米の半分、美味しいだけでは売れない時代に

2014.09.05(Fri)佐藤 成美

こたつ離れはみかん離れ

 食生活の必需品になったにもかかわらず、果物の消費量はなおも減っている。最も消費が落ち込んでいるのが、冬の食卓に欠かせないみかんだ。総務省の「家計調査」によると、みかんの消費量はピークの1980年から30年で3分の1まで減少した。一方、バナナの消費は2倍以上に増えている。果物消費量ランキングでは、長年みかんがトップを維持してきたが、2004年からはバナナにトップを奪われてしまった。

 食品関連団体の取締役などが理事に名を連ねる「青果物健康推進協会」は、5年前より「デスクdeみかん」というみかん消費拡大活動を始めた。みかんには、こたつで団らんしながら食べるイメージが定着している。しかし、最近では生活様式が変化し、こたつで温まる機会は少なくなってしまった。このことがみかんの消費の低下につながったのではないかと同協会は考え、会社や学校のデスクでもみかんを食べようと提案した。

 同協会は社員食堂でみかんを配布したり、健康セミナーを開いたりして、みかんをピーアール。イベントと同時に行われるみかん即売会では売れ行きがいいという。夏場には「デスクdeデコポン」というイベントも行っており、かんきつ類の消費の拡大を図っている。

甘くて美味しいだけでは売れない

 果物離れをなんとか食い止めようと、最近の消費者のニーズに合わせた品種改良も行われている。これまでの品種改良といえば、おいしさを向上させたり、栽培しやすくしたりすることを目的に行われてきた。甘くて大粒のイチゴなど、甘味の強い品種がたくさん開発されてきたが、いまやそれだけでは消費者のニーズには応えられなくなってしまった。

 「皮をむくのが面倒」という声やカットフルーツなど加工食品として食べるという消費者のニーズに合わせて、例えば、皮のむきやすい温州みかんと甘味の強いオレンジをかけ合わせた「はれひめ」、種がなく皮ごと食べられるブドウ「シャインマスカット」、渋皮と身が離れやすい栗「ぽろたん」など食べやすい品種が生まれた。このような手間なし果物は評判もよく、売れ行きも好調だという。

 また、熱水処理や酵素処理によって刃物を使わずに柿の皮をむく技術や、カットしたりんごがすぐには茶色くならず、品質を2週間保てる技術などが開発されている。コンビニで売られている袋入りの皮むきリンゴはこの技術を利用したものだ。

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