果物を食べなくなった日本人

消費量は欧米の半分、美味しいだけでは売れない時代に

2014.09.05(Fri)佐藤 成美

 2013年の1人あたりの年間生鮮果実購入数量は27.0キログラム。ピークだった1975年の49.7キログラムの半分近くまで減少している。年代別の生鮮果実摂取量は、20~40代で少なく、30代が1日あたり61.1グラムと最も少ない。最も多い70代の152.0グラムに対して、2倍以上の開きがある。

 もともと日本人の果物摂取量は海外に比べてもかなり少ない。2009年の国連食糧農業機関(FAO)の統計では、日本人1人あたりの年間果物摂取量は176カ国中127位。この年の1日あたりの平均摂取量は144グラムで、世界平均の200グラムに達していなかった。

 先進国の中では最低クラスで、日本人は欧米の3分の1から半分くらいしか果物を食べていない。欧米では、果物は野菜と同じように食材として使われているのに対し、日本では主にデザートとして食べられ、嗜好品として位置づけられてきた。このような食文化の違いも、欧米に比べて果物の摂取量の少ない要因だと考えられている。

果物華やかなりし時代はわずか20年程

 かつて果物は高級品として扱われ、あまり庶民の口に入るものではなかった。だが、1960年代の高度経済成長期になると果物の消費量はどんどん増え、1970年代にピークとなった。現在、果物摂取量が多い70代は、このころ果物を食べていた世代だ。

 その後1980年代のバブル期を迎え、さらに日本の経済が豊かになると世界中から食品が集まり、食は多様化した。そして様々なデザートや飲料が登場すると、果物はそれらと競合してしまった。その結果、生鮮果実の消費量が減ることとなった。

 また、1980年代からは、一人暮らしが増えるとともにコンビニエンスストアが定着し、一人暮らしの若者が持ち帰り食品やインスタント食品を買い求めることが多くなった。当時のコンビニでは生鮮品はあまり売っていなかったので、果物を買う機会は減った。たとえ、スーパーや青果店で果物を買ったとしても、パック詰めは1人には多すぎるし、日持ちもしないので食べ切れない。価格も高いので、果物ではなく別のデザートを買うようになった。

 さらに1996年のO-157食中毒事件以来、学校給食では生野菜を提供しなくなり、果物も提供する機会が減った。これらのことが果物離れの引き金となったのかもしれない。

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