セブン、イオンが先手、「オムニチャネル」はどこまで実現しているのか

食品でも進む販売経路の融合

2014.07.11(Fri)白田 茜

部門の壁、迅速な対応・・・すんなりとはいかない側面も

 オムニチャネルを実現するためには、各店舗とオンラインストアの情報を統合する必要がある。統合する情報は、商品の在庫情報、顧客情報、顧客の購入履歴、顧客のオンラインストアの閲覧履歴、物流ルートなど多岐にわたる。また、全店舗の在庫管理、物流ルートの整備も行う必要があり、かなりの「大改革」になる。

 これまでも、メールでキャンペーン情報を流して実店舗への来店を促すなど、インターネットの利用者を店舗での消費行動につなげようとする「O2O」(オー・ツー・オー: Online to Offline)という販促活動はあった。しかし、実際にはオンラインストアと店舗は消費者の利便性によって使い分けられており、各々が独立していた。日本の小売店の本格的な取り組みはまだこれからと言えるのかもしれない。

 オムニチャネル化するためには課題もある。1つ目は、異なる部門で協力体制を築いていくことだ。店舗とオンラインストアで顧客を奪い合うことになりかねず、別部門どうしのスタッフが足並みをそろえるのは、すんなりとはいかないことが予想される。

 2つ目は、リアルタイムに顧客に対応することだ。例えば、オンラインストア上で注文された商品を在庫から出荷する、SNS上で顧客から寄せられた質問に対応するなど、どこまでリアルタイムに対応することができるのか。

食品ネット通販がリアル店舗に進出

 オムニチャネル化は、リアル店舗からネット通販へと舵を切ることではない。インターネット通販の参入が相次いだ電子商取引(EC)業界では、すでに淘汰の時代を迎えつつあると聞く。ネット通販にシフトするよりも、リアル店舗との相乗効果でいかに売り上げを伸ばすか知恵を絞ることが求められている。

 リアル店舗の強みは、店頭で得られた商品の販売動向や消費者の行動パターンなどのデータを生かし、イベントやセールの企画、商品開発につなげていけることだ。消費者にとっても、実際に商品を手に取り五感で感じ、店員に商品のことを尋ねられるなど、リアル店舗ならではの魅力がある。食品スーパーでは、試食コーナーや穫れたての野菜を籠盛りにするなどのサービスを充実させ、ネット通販にはできない企画ができるのも強みだ。

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