中山 橋下市長は、特別区の区割り案の絞り込みに反対した公明党を「裏切り者」と批判したほか、「公明党の支持基盤の皆さんは宗教を説いていますが、宗教の前に人の道がある」などと述べています。
大阪都構想の制度設計を話し合う法定協議会に参加されているお2人は、橋下市長の一連の発言をどう見ていますか。
花谷 まず、法定協議会とは正式には「大阪府・大阪市特別区設置協議会」といい、大阪市を廃止して特別区を設置する「大阪都構想」の計画書について議論を行っています。
この法定協議会の場で橋下市長は、大阪市を再編する4つの案の中から1つに絞り込みたいと急に言い出したのです。
しかし、この件について議員と市長・府知事が議論したのは実は今まで1度しかありません。そこで公明党は「まだ絞り込む段階ではありませんから、もう少し議論してからにしましょう」と前向きに主張しました。
ところが、橋下市長はそれを反対の意思表示と見なし、法定協議会をストップさせてしまった。それで出直し市長選をやろうというのですから、私は理が通らない“逆ギレ選挙”だと呼んでいます。公明党は本当に気の毒ですよ。
柳本 橋下市長は出直し市長選に理解を求めていますが、結局何のための選挙なのかが分かりません。私も単なる橋下市長の“わがまま選挙”だという気がします。
というのは、議論が自分の思い通りに進まないからという理由で選挙をしたところで、結果的に橋下市長が再選しても、議会や法定協議会の構成が変わるわけではありません。予算編成で大変な時期になぜそのような選挙をする必要があるのか、大きな疑問です。
当初唱えていた「身近な行政」とは程遠い大阪都構想の設計図
中山 橋下市長は「先の統一地方選挙で維新は府議会で過半数、知事選挙、市長選挙で勝った。市議会議員選挙においてのみ過半数を取れなかった。この結果を踏まえて法定協議会を作ったが、維新が法定協議会で過半数を取れないのは民主主義に反する」と指摘しています。この点についてはいかがですか。
花谷 まず、法定協議会のメンバー構成は、議会に占める各党や会派の議員数に応じて比例配分しています。
例えば府議会には9人の議員がいますが、そのうち5人は過半数を取った維新の議員であり、きちんと民意が反映された比例配分になっているわけです。ですから、新たに府議会議員選挙が行われない限り、この構成は変わりません。
また、府議会で過半数を持っていた維新は、4人の造反議員を除名処分したことで過半数を失いました。この状態を法定協議会にも反映するとしたら、橋下市長の考えとは逆の結果になります。