AsiaX(アジアエックス) 2014年1月13日
米国ニューヨーク、マンハッタンの金融街にシンガポールではおなじみの屋外フードコートを登場させる計画が進んでいるという。仕掛け人はセレブリティシェフで人気テレビ番組のホストでもあるアンソニー・ボーデイン氏。『エスクァイア(Esquire)』誌によると現在、世界中のストリートフード、ホーカー料理の達人を選んでいるという。
「世界一の都市であるニューヨークに、世界の美食が集まる場所があるべきだと長い間思ってきた。例えば、シンガポールのように」
コンセプトは昨年1月にガーデンズ・バイ・ザ・ベイにオープンしたサテイ・バイ・ザ・ベイ(Satay by the Bay)と似ているようだ。サテイ・バイ・ザ・ベイは、サテイ屋台8軒のほか、20軒以上の屋台が屋外に並ぶ。
アンソニー・ボーデイン氏は、シンガポールのホーカーフード好きとして知られている。マックスウェルフードセンターの天天海南チキンライスのファンで、著作本には「死ぬまでに行きたい13店」としてゲイランのSin Huat Seafood Restaurantを挙げている。
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先日、シンガポールのような屋台料理を集めた場所、つまり「ホーカーセンター」を米国ニューヨークのマンハッタンに作る計画が進んでいる、というニュースが話題になりました。
計画の主は、経験豊富なシェフであり、かつ世界各地の料理を紹介するテレビ番組のホスト役や作家としても人気の米国人、アンソニー・ボーディン氏。かねてからシンガポールのホーカーセンターがお気に入りで、世界中から屋台料理を集めた場所を作ろうとしているそうです。
シンガポール各地のホーカーセンターでは、欧米圏からの観光客が、興味深そうにお店を1軒1軒覗き込んだり、テーブルにずらりと並んだ料理を嬉しそうにカメラに収めている姿を見かけることがしばしばあります。
ハンバーガーやホットドッグ、ドーナツなど軽食中心のアメリカなどのフードコートに比べても、新鮮な肉や魚、卵、野菜などを使い、鍋で調理されたできたての料理がいろいろと楽しめるホーカーセンターは、やはり魅力的のようです。
その一方で、ホーカーを営む料理人などの高齢化が進み、かつての名店が後継者不足でのれんを畳むケースが増えています。早朝から、あるいは深夜まで長時間きつい仕事を強いられるホーカーは、若い世代には敬遠されがちです。
そんな状況を打開すべく、政府はホーカーをシンガポールの大事な食文化として保存するための対策に乗り出し、昨年10月には「ホーカー達人指導者(HMT)計画」を開始しました。
文化として大事に育て、継承していくためには、若い世代がホーカーとして身を立てる意欲をかきたてられるようなものが必要です。今回の計画がニューヨークはもちろん、今後世界各地で展開されれば、海外にも大きくチャンスが広がることになり、彼らにとって格好の目標になるでしょう。
また、シンガポールのほとんどのホーカーセンターで、日本食のお店を見かけるようになりました。日本にとっても、ユネスコの無形文化遺産に登録が決定した「和食」の裾野を広げる大きなチャンスになり得るのではないでしょうか。
(1月20日、社説「島伝い」より)
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