年明けすぐ、イラク戦争の激戦地だったバグダッド西方の都市ファルージャが、国際テロ組織アルカイダ系の武装組織に制圧された。この地は米軍とテロ組織とが激戦を繰り広げた場所だ。

 バラク・オバマ大統領は就任当初から米軍のイラク撤退を口にし続け、2011年12月に撤退を完了。それはイラク戦争の「米国的終わり」を意味していたが、国内のセクト間抗争はその後も激しさを増し、戦渦はむしろ広がっていた。

イラクで命を落とした米兵は無駄死だったのか

イラク・ファルージャ

 結果論だが、最近は撤退の判断が拙速だったのではないかとの批判が噴出している。

 イラクで戦死した米兵約4500人のうち、ファルージャのある激戦地アンバー州では約1500人が命を落とした。

 そのファルージャがテロ組織の手に渡ったことで、彼らの死が無駄死になったのではないかとの批判だ。

 数年前、ファルージャに派遣されていた米海兵隊員に首都ワシントンでインタビューした。イラクに派遣される前、マークという青年は「世界に民主主義を広めるため」、そして「テロリストと戦うことは米国のためになる」という大義名分を信じていた。

1万3000世帯が市外脱出、武装集団が掌握のイラク・ファルージャ

ファルージャを逃れ、カルバラ州に入るための軍検問所に到着した家族(2014年1月6日)〔AFPBB News

 けれどもイラクに派遣された後、イラク人に馴染みのない民主主義を根づかせることは米国の傲慢なのではないかとの疑問を抱くようになる。

 さらにイラク国内での戦況は芳しくなく、「Unwinnable(勝利不能)」という結論が、すでに海兵隊の作成した極秘報告書に記されていたと語った。

 死んだ戦友に話が及ぶと「虚しい」と残念そうだったが、一方で兵士らしい言葉も吐いた。それは「国家に忠誠を誓った以上、何があっても上の命令に従って死力を尽くすことが使命」ということだった。

 それは米軍が日本を守るという状況にも当てはまる。