さらに、就労を希望する精神障害者が抱える「不安」も、現在の状況が生まれている要因だと語る。
「求職者の方自身も非常に不安を抱えているんですね。同じ悩みを持つ方が働く姿をあまり見ていないからこそ、自分自身がチャレンジすることに不安を感じているんです。このような本人の不安を取り除いてあげることも、精神障害者の就労において大切だと思います」(同)
障害をきちんと把握し、できる仕事を見極める
雇用する側と求職する側がそれぞれ抱く不安。では、それを取り除き、精神障害者が働ける環境を作るためにはどのようなことが必要なのだろうか。
「働くというのは、必ずしも正社員でバリバリ・・・という形だけではありません。ですから、精神障害者の方が『何ができるか』『どこまでならできるか』を見極め、企業側が無理のない適切な配置をしていくことが大切です。重要なのは、採用する側が精神障害を持つ方の強みと弱みを把握し、それを社内で共有して適材適所のポストを用意することです」(同)
とはいえ、企業が精神障害者の性格や能力を適切に把握するのは簡単ではない。そこでアビリティスタッフィングでは、企業と求職者を引き合わせる前の段階で、まず精神障害者の方が自分の経歴や希望、もっと言えば「できること/できないこと」、あるいは障害の特性を明確にまとめていく機会を設けている。