その後に企業と求職者の事前面接を行って、お互いの理解を深めていく。そこにはスタッフも同席し、お互いの情報を引き出すという。このような前段階を踏むことで、企業にとっても求職者にとっても、適切なポジションでの雇用をしやすくなる。
精神障障害者の雇用に欠かせない「事後フォロー」
雇用した人を「定着」させることも当然ながら重要。そのためには相手の特性を理解し、無理のない配置を行うのも必須だが、同様に「事後フォロー」も欠かせないと川上氏は話す。
「新しい環境に入ってストレスが溜まってきた時に、ケアできるかどうかが大きなポイント。たとえば厚労省のデータでいうと、就業後のフォローがあるかどうかで定着率が大きく変わってきます。本人はどうしても『頑張ろう』と力が入っていますから、ストレスを見せないケースも出てくるはず。そんな時、冷静にケアできる方を企業が導入できていると、定着率は上がってくるはずです」(同)
アビリティスタッフィングの場合は、就業後のスタッフの状況を定期的に精神保健福祉士がヒアリングしているという。就労者のコンディションを確かめるだけではなく、企業の担当者にも何か困っている事はないかを都度確認している。そのような事後フォローが、精神障害者の就労には重要となるようだ。
冒頭の92%という高い定着率は、このようなフォローがあってこその数字と考えてよいだろう。また、一度採用した企業のリピート率も46%となっている。
もちろん、上述のような事後フォローを各企業が独自に行うのはそう簡単ではない。しかし、精神障害者の雇用を考える上で、このような手立てがカギになることは覚えておくべきだろう。