東南アジアには親日国が多い。第2次世界大戦では日本が占領した国々でもあるのに、日本を良く思ってくれる。なぜだろう。その問いに対しては、今までにいろいろな解説が試みられてきた。戦後の驚異的な復興によりアジアで唯一の先進国となったから。あるいはアジアで初めて欧米超大国に戦いを挑んだ国だから・・・。
東南アジアの国々はなぜ日本が好きなのか
そんな面もあるかもしれない。でも本質ではない。そうした目でだけでしか日本を見られない精神構造の国は、自国の生活水準がある程度上がった途端に間違いなく反日国になっている。
現在、親日国と言われる国々と日本は、別の何かで結ばれている。それは恐らく、日本人が長い歴史の中で熟成させてきた精神的支柱に起因している。
江戸時代という長く続いた平和な時代に、武力ではなく支配者として別の価値を自らに見出さなければならなかくなった武士たち。
一方で、この時代に士農工商というそれまで馴染みのなかった迷惑な身分制度を押し着せられた被支配層も、精神的には対等の関係を保とうと人間としての価値を磨くことに余念がなかった。
「日本が中国・韓国より決定的に優れているわけ」の記事で、数学者の桜井進さんは、日本がフィールズ賞やノーベル賞が数多く受賞している理由を江戸時代の教育にあったと語っている。
武士も農民も町民も、教養を育み徳を積むことに熱心だったおかげで、日本は明治維新後の素早い発展を手にすることができた。江戸時代が育み私たちの体の中に受け継がれてきたDNAの恩恵を現代の私たちももっと認識していい。
ただ残念なのは、大半の日本人はその大切な心をほとんど忘れかけていることだ。グローバルスタンダードという名の下に徳よりも得を優先する企業経営者が増え、平気で「世界同一賃金」などという言葉を口にする大手企業のトップも現れたのはその一端だろう。
世界同一賃金や英語公用語化を口にする経営者が純粋な日本人かどうかは知らない。しかし、社員の徳を生かしその価値を尊敬できないような会社なら日本にある必要がないのではないか。英語を話すことの方が大事では「日本の会社」という看板が泣く。