ボストン・マラソン爆発事件から1カ月。たった1カ月ですでに米国内の感心は薄れつつある。

 この間、3人の女性を10年以上に渡って監禁し続けた男が逮捕されたり、新たな銃乱射事件が起こったり、別れたボーイフレンドを惨殺した女性のスキャンダラスな裁判が最終局面を迎えたりと、枚挙にいとまがないほどの大きな事件が続いている。

 ニュースは、毎日のように「特報」「速報」「緊急ニュース」などの名目で通常の番組を中断し、新しい大事件を報道している。そして、それ以前の事件は瞬間的に色あせてしまう。

 しかしボストン・マラソン爆発事件には、他の事件と違う何かがある。犯人逮捕で終わる事件と終わらない事件があるとしたら、爆発事件は後者である。

 以下が、社会の注目が去った後にひっそりと起こった関連事件である。

逮捕された16歳の科学大好き少女

 ボストン・マラソン爆発事件のちょうど1週間後、フロリダ州に住む高校生のキエラ・ウィルモットさん(16)は、いつもより早めに学校に登校した。

 科学が得意で、校内でも知られた「科学少女」だったキエラさんは、来る「科学の日」の発表のために、何か面白い実験を実演しようと考えていた。

 そこで朝7時、誰もいない校庭で、ペットボトルに入れた家庭用便器クリーナーの液体にアルミホイルを丸めたものを入れ、急いでふたをした。想定では、白い煙が出るはずだった。

 ところが、煙が出るだけでなく、ポンっという音とともにペットボトルのふたが飛ぶ、軽い爆発が起こった。

 周囲には誰もいなかったし、キエラさんも無傷。本人も、化学反応の結果に納得し、それだけで終わるような話だった。

 彼女の不運は、この実験をたまたま校長が目撃したことだった。

 校長は爆発が起こったことに過剰反応し、すぐさま科学の先生が呼ばれ、キエラさんの実験が通常の授業とは関係ないという回答を得る。

 そこで学校は、「爆発事件が起こった」と警察に通報する。駆けつけた警察は、「学校内での武器所有および使用」と「破壊能力を持つ危険物の所有および使用」という2つの重罪を犯した罪でキエラさんを逮捕した。