ニュース重視に一気にシフト

韓国大統領選、朴候補と文候補の一騎打ちに

安哲秀(アン・チョルス)氏(右)の出馬表明以降、一般国民の関心も高まり、4局の番組編成方針の「大統領選挙シフト」が始まった〔AFPBB News〕

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 真っ先にニュース重視に転じたのが毎日経済新聞社が大株主になっているMBNだ。早朝から夕方までの時間帯をニュースに編成して視聴率をじわじわ上昇させた。

 もともと韓国最大の経済紙が親会社で株式市場の情報や経済ニュースに強く、固定視聴者をつかんだ。

 MBN以外の3局は夜のニュース番組を強化した。地上波放送のニュース番組と一味違った内容で、「本音トーク」などのコーナーを数多く取り入れ、「ニッチ視聴者」をつかんだ。

 3局は、大統領選挙が近付くにつれて昼の時間帯にぶっ続けでニュース番組を放送するようになった。

 確かに、4局のニュース番組は面白かった。地上波ニュースが、各候補の遊説などを追って取材記者のリポートを流すという一般的な放送であるのに対し、「総合編成チャンネル」は、大学教授や政治評論家などを総動員して、「とんがった」解説を中心に放送をしたからだ。

 例えば、大統領候補によるテレビ討論会。各局とも討論会前に何人かのコメンテーターに「見せ場」などを解説させる。討論会が終わるとすぐにまたコメンテーターが登場し、その場で「採点」をする。

 テレビ画面の下には、ずっと視聴者からの「書き込み」が流れ、視聴者の意見を見ながらコメンテーターたちが意見を戦わせるといった具合だ。

激戦の大統領選挙が目玉コンテンツに

 候補者陣営の幹部も頻繁に生放送に出演させ、挑発的な質問をしたり、与野党議員の間で活発な討論をさせ、「生々しい」ニュース番組を目指した。

 選挙1カ月前の11月以降は、4局ともに朝から夕方まではニュース番組。娯楽番組をはさんで夜の8時や9時からはまたニュース番組という編成になった。

 激戦の「大統領選挙」は最大のコンテンツだったのだ。