6次産業を起業して、震災からの復興を進める。そんな目的で、認定NPO法人「ふるさと回帰支援センター」が取り組んでいる「復興六起」起業企画コンペティションの審査委員を2回にわたって務めた。

 被災地での起業を目指す多くの人たちの話を聞いた感想は、「意欲満々、されど道険し」というもの。何年後かには「成功報告会」が開かれることを期待したい。

地域の産物を生かしたビジネスプランを審査

コンペティションのあと、起業支援対象者の認定証を持つ合格者たち(11月7日、仙台市市民活動センターで、筆者撮影)

 このプロジェクトは、内閣府の復興支援型地域社会雇用創造事業の一環で、起業家90人を「発掘」し、認定されたビジネスプランの立案者に上限260万円の起業支援金を支給するというもの。全部で18回開いたコンペティションのうち、私は宮城県南三陸町で開かれた12回目と、仙台市で開かれた17回目の審査に加わった。

 審査は、1人10分ずつプレゼンテーションをした後に、審査委員が1件について10分の質疑を行い、最後に、事業性、雇用創出効果、社会性、資質などで審査をして、支援対象者を決める。私が参加した2回の審査では、18人がプレゼンテーションをして、そのうち13人が合格した。

 審査の質疑では、審査委員から事業性などについて厳しい質問もあり、応募者が返答に窮する場面もあった。

 審査委員長の玉田樹さん(ふるさと回帰総合政策研究所代表)は、審査後の講評で、「厳しい質問が出たのは、公金を支出するからというだけではなく、起業にあたっては、この支援金意外にも借金をされる人もあるでしょうから、成功しそうもないプロジェクトに資金を出せば、かえって借金に苦しむ人を出してしまうからです」と説明していた。確かに助成金は、人を助けるばかりでなく、人を苦しめることもある、と思った。