第1回は、日本のハラル環境を整えて、中東から富裕層を取り込み観光立国となるべきだということ。第2回は、先細りしていく日本の市場から、巨大なイスラム市場へ目を向けようというテーマで連載を続けてきました。

 最終となる今回は、ハラルのインバウンドとアウトバンド、それらがどうビジネスに結びつくか、を説明したいと思います。

 インバウンドでは、観光客誘致です。

「新・下町流」を発信、東京ソラマチ 22日オープン

ハラル環境整備は観光客誘致につながる(写真は東京スカイツリーと商業施設の東京ソラマチ)〔AFPBB News

 ハラル環境を整えることにより、イスラム圏の富裕層が団体または個人で日本を訪れるようになります。

 レストランや宿泊施設、レジャー施設が目立つところですが、それらに関与している企業にとっても、大きなビジネスチャンスを生むことになります。

 レストランで言えば、利益はその店主だけが得るわけではありません。食材を卸している会社然り、おしぼり、割り箸などのサプライヤーの取扱量は増えるはずです。マンパワーが必要な店舗では増員し、その結果新たに職を得る人も出ることでしょう。

 また、店舗の回転が良くなることにより、素材は常に新鮮なものとなり、イスラム圏の観光客だけでなく、地元住民にもより質の高い食事を提供できることになります。

 では、どのようにして、ハラルレストランになるか、ハラル認証を取り付けるかを説明しましょう。

 第1にハラル生産ラインの確立、第2にハラル認証の管理監督が必須事項となります。

 ハラル生産ラインの確立とは、下記の3点が大項目になります

(1)店内では豚を扱わない。

(2)ノンハラルな料理と調理機材、まな板、ナイフ、皿などを分ける。

(3)アルコールやポークエキスなどが入っているノンハラルな調味料を使用しない。

 アルコールは、扱わないに越したことはありませんが、売り上げの3割以上を占める場合においては、店の死活問題にもなります。その場合は、店全体をハラルにするのではなく、食材およびメニューをハラルにすればいいのです。