加入者数で米国第3位の携帯電話サービス会社スプリント・ネクステルは、傘下のプリペイド携帯電話サービス会社バージンモバイルUSAが6月29日から米アップルの「アイフォーン(iPhone)」を販売すると発表した。これに先立ち、同業の米クリケット・コミュニケーションズがプリペイド式のアイフォーンを発売することを明らかしており、バージンモバイルはこれに続く2社目となる。

 クリケットが米国人口の2割程度をカバーする比較的小規模な通信事業者なのに対し、バージンモバイルは米国全土に販売網を持つ。このことから、今後プリペイド式が普及するかもしれないと言われている。

総コストが安いプリペイド方式

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プリペイド式のアイフォーンに顧客はどう反応するか?〔AFPBB News

 プリペイド式携帯電話は、顧客が端末の代金を一括払いで購入し、通信サービスは必要に応じて前払い(チャージ)して利用するというもの。

 これに対し米ベライゾン・ワイヤレスや米AT&Tなどの大手が提供しているポストペイドサービスは、2年間の通信サービス契約を義務づけ、そのサービス料金を毎月支払う。

 後者は最初に必要となる端末代金が大幅に割り引かれるが、端末代金が月々の料金に組み込まれるため、結局は割高になる。

 例えば、バージンモバイルが販売する「アイフォーン4S」の16ギガバイトモデルは649ドルで、これはアップルがオンラインストアで直販しているSIMロック解除モデルと同じ。つまりこの金額が本来のアイフォーンの価格なのだが、ベライゾンやAT&T、スプリントなどの大手が販売している同モデルの価格は199ドルで、その差は450ドル。

 しかし大手のポストペイドサービスの1カ月当たりの通信料は90ドル以上かかる。一方バージンモバイルは30ドルからと安い。これが2年間で支払う総コストの差となり、その額は600ドル以上になると言われている。

アップルの狙いとは?

 ではなぜアップルはバージンモバイルやクリケットなどのプリペイド事業者を通じてアイフォーンを販売するのだろうか? 

 その背景については米ニューヨーク・タイムズが報じている。それによると米国の携帯電話サービス市場は、同国第1位のベライゾンと第2位のAT&Tの複占状態になっているという。