北アフリカ3カ国でつくられるワインは、気温が高い場所であるがゆえパワフルなワインを想像しがちです。けれども実は白ワインやロゼワインが中心に生産され、赤ワインも軽めなタイプができます。これは、栽培地が高地にあり年間平均気温が20度以下であること、またアルジェリアやチュニジアの栽培地には地中海からの涼しい海風が絶え間なく吹いていることが理由として挙げられます。

意外にもアフリカの「灼熱の大地」というイメージとは違うワインになるのです。特に海産物や現地のスパイスの効いた料理にも合う白ワインやロゼワインは、女性にも飲みやすく、これからの季節にぴったりのワインです。手頃な値段も魅力の1つでしょう(参考:チュニジアワインの通販サイト)。
アラビア半島に目を移すと、レバノンに「シャトー・ミュザール」というカリスマワイナリーが存在します。ここでは、何年も後に花開くという長期熟成型赤ワインをつくっています。レバノンはフランス色が濃く残っているので、フランス系のオーナーが多いのも特徴です。
また最近、急速に頭角を現してきたのがイスラエルです。潤沢な資金力を生かして今や世界最先端の技術を駆使し、世界市場を睨んだワインをつくっています。いくつもの賞を受賞し、かの著名ワインジャーナリストであるロバート・パーカー氏も絶賛するほどの出来栄えです(資本力にものを言わせて「絶賛」させているのではないかという声も一部で聞かれますが・・・)。
イスラエルのワインは、カリフォルニアの上級ワインのようにパワフルで、若くても滑らかに仕上がっているのが特徴です。まさに世界に輸出できる「美味しいワイン」であり、これから目が離せない地域です。
ルーマニアとブルガリアの歴史あるワインづくり
EUにもワイン生産が伸びている国々があります。東欧のブルガリアとルーマニアです。こちらもワインづくりの歴史は古く、ローマ時代以前にギリシャ人によってワインが伝わった地域です。
ブルガリアとルーマニアは、社会主義政権下時代にソ連向けのワイン生産を一手に引き受けた国です。当時は、ソ連の市場に合わせた甘口ワインやスパークリングを主に生産していました。そのため、高品質なワイン産業は一時低迷したものの、EUに加わって以来、急速に注目を浴びています。ソ連という大きな市場を突如失い、西欧諸国のニーズに合わせたワインをつくらなければ生き残れなくなったのです。
舌の肥えたヨーロッパ市場に対応すべく、ルーマニアでは、カベルネ・ソヴィニョン、ピノ・ノワール・メルロー、シャルドネなどの国際品種を栽培しています。ルーマニアのワイン生産量は世界12位(2005年)とかなりの量になります。