緯度がフランスとほぼ同じで黒海を抱くルーマニアは、ワインづくりに適しているのです。その歴史はローマ時代よりはるか以前にさかのぼります。酒の神バッカスのモデルであるデュオニソスはルーマニアのトラキア地方出身とされています。
ブルガリアも元はトラキア。長いワインの歴史を持っています。
ルーマニアと同様に国際品種も盛んで、コストパフォーマンスのよいカベルネ・ソヴィニョンは、1980年代にイギリスをはじめとしたヨーロッパ諸国でブームを起こしたほどです。緯度がルーマニアより南ということもあり、固有品種によるスパイシーなワインも盛んにつくられています。
ワインづくりの起源が同じ時期にさかのぼれる2つの国ですが、ブルガリアの方は500年もの間オスマン帝国の支配下にあったため、今でも人口の12%をイスラム教徒が占めます。そのため生産量の90%が輸出用となっています。
EU域内での免税を武器に、品質の確かさとコストパフォーマンスの良さで、EU諸国に攻勢を仕掛けているのがこの2カ国です。
ワインを飲んでギリシャを助ける?
さて、EUでもう1カ国忘れてはならないのがギリシャです。
国際的な評価はまだそれほど高くないのですが、EUのワイン好きの間では、ギリシャワインを飲んでギリシャを助けようというムーブメントも起きているとかいないとか。
たまにはワインの起源をたどりながら、日本人から見ると少し「ミステリアス」な国々を取り上げてみてはいかがでしょうか。2人のマンネリな関係に、ワインが「新鮮な風」を吹き込んでくれるかもしれません。