2011年の韓国の貿易額が初めて1兆ドルを超えた。世界で9カ国目で、韓国政府や経済界では「経済強国に浮上した」ことへの自信をさらに深めている。「輸出立国」を掲げた韓国のここ数年の貿易額の伸びは目を見張るほどだ。
だが、その中身をよく見ると、中国への依存度が急速に高まっている。
違法操業中の中国漁船を摘発しようとした韓国の海洋警察官が刺殺された事件があったうえ、金正日(キム・ジョンイル)総書記が死亡して北朝鮮への中国の影響力がさらに高まるとの声もあり、韓国では「中国への依存度が高すぎる」と警戒する声も徐々に出始めている。
戦後の最貧国が大躍進、貿易額1兆ドル突破は世界9カ国目
2011年12月5日午後4時すぎ。ソウル郊外にある韓国の知識経済部(日本の経済産業省に相当)に関税庁から待ちに待った連絡が入った。午後3時半時点で、輸出入を合わせた2011年の貿易累計額が1兆ドルを突破したのだ。
報告を聞いた李明博(イ・ミョンバク)大統領は、すぐに韓国貿易協会を訪問し、「1964年の輸出額は確か1億ドルだった。長年、企業にいた者としては、本当に感慨無量だ」と語った。
貿易立国・韓国の貿易額の増加ペースは驚異的だ。李明博大統領が言及した1964年の貿易額は5億ドル。47年間で2000倍に増えたことになる。
韓国のユーチューブで最近、話題になっている動画サイトがある。「奇跡の韓国」というタイトルで、50年前の世界の最貧国だったころの写真を載せて、経済成長の軌跡をたどっている。
韓国は朝鮮戦争直後に世界の最貧国の1国だった。1961年に軍事クーデターで政権を掌握した朴正煕(パク・チョンヒ)大統領は経済再建のために主要先進国に借款を求めたが、ことごとく失敗した。
そんな中で、西ドイツが看護師と炭鉱労働者の派遣を求め、この給与を担保に借款に応じることになった。
「奇跡の韓国」は、当時の若い韓国の看護婦と炭鉱労働者がどのような思いで西ドイツに渡り、どれほど経済発展に貢献したか、その歴史を忘れまいという内容だ。