そしてさらに踏み込んで、例えば味噌は味噌汁としての用途だけではなく、グラタンのソースに入れてみるとか、豆乳とマヨネーズと混ぜ合わせてドレッシングとして使うなど、現地の食生活の中での可能性も提案してあげることが大事なのだとか。
絶好調の売れ行きの裏では不振の商品も

「日本でおいしいからという、自分たちの理屈だけでなく、こちらの具体的なターゲットを意識して品目ごとにやっていかなくてはいけないと思います」と、村山さんの指摘はなかなかクールである。
ところで、海外在住者が初めて目にするような商品もあった。「大福あんぱん」、タバスコをもじったネーミングの「ゆずすこ」・・・。これらは既に完売という評判だったそうだが、逆に苦戦を強いられたものもある。
例えば、厳選トマトで作ったジュースや沖縄産の高級塩、材料はしいたけと食塩のみという調味料「ひしお」など。関心は集めたものの、輸入経費などが上乗せされるためにどうしても価格が高くなってしまい、一般の人が買うというところまでは至らなかったらしい。
1つ2ユーロの焼きうどんは調理が間に合わない人気ぶり
「それでも、生産者の方は、出展してよかったという感想を残して帰られました」と、村山さん。

「『プロに受けるのは分かった。だとしたら、素人に受け入れられるには今後どうしたらいいかというのを考えればいい』と。実際に現地で消費者の反応を肌で感じられたというのが、貴重な経験だったようです」
ほかのコーナーを回って、再び昼近くに日本ブースに戻ってみると、はたして料理のデモンストレーションの前には何重にも人垣ができていた。
お好み焼きやカレーがいい匂いを立てている軽食のテイクアウトコーナーでも、スタッフが手を休める暇もないにぎわいである。
「これでも今日は空いているほうです」と言う村山さんみずから、焼きうどん製作に奮闘中。1皿2ユーロの日本の味は次から次へと売れていき、フライパンがあっという間に空になっていった。