パリでバカ売れ、日本のウイスキー

お酒にうるさいフランス人が味と品質を高く評価

2010.02.16(Tue)鈴木 春恵

 というのも、この店のそもそものコンセプトが、期間限定の品揃えにあることから、「一面の日本のウイスキー」は少しばかりおとなしく、店の3分の1ほどになっていた。

 「2月はカルバドスをメーンにして『カルバドス・コネクション』というネーミングで展開していますけれど、12月16日から1月23日までは、日本のウイスキーオンリーでした」と、日本人の私相手に誇らしく語るのは、ジェラルディーヌ・ランディエさん。店のプレス担当の女性である。

4週間で2000本も売れた

棚という棚に並んだ日本のウイスキー

 「日本のウイスキーが期待していた以上に好評だったので、2月に入ってもこうして一部に残しているんですよ」

 「好評」という具体的な感じを得たくて、単刀直入に何本売れたのかと問えば、「4週間で2000本」という答えが返ってきた。つまり、1日平均70本強。日本のウイスキーだけでこの数とは、さすがに驚いた。

 「もちろん、時期に助けられたということはありますよ。クリスマスシーズンだったし。けれど、既にウイスキー愛好家というのはフランスに少なくなくて、そういう人たちは、日本のウイスキーのレベルの高さというのを知っているから、それで、品揃えの豊富さを期待してわざわざ足を運んだというのもあります」と、ジェラルディーヌさん。

 自国のことながら、私は日本のウイスキーの優越性について疎く、いくつかの銘柄の名前くらいは知っていても、どれほどのものかは知らなかった。

フランス人に教えられた日本ウイスキーの快進撃

ここ数年、日本のウイスキーは様々な賞を取っている。2008年にシングルモルト部門の大賞となった「余市」

 それをジェラルディーヌさんによって教えられたことになるのだが、「ワールド・ウイスキー・アワード」におけるここ数年の日本ブランドの快進撃は目覚ましいものがある。

 「余市」(2008年シングルモルト部門大賞)、「竹鶴」(2007、2009年ピュアモルト部門大賞)、「響」(2007、2008年ブレンドウイスキー部門大賞)と、それらの名声は既に世界の愛好家の間に知れ渡っているのであった。

 さらに言えば、ワインの本場であるはずのフランスは、なんと1人当たりのウイスキーの消費量が、スコットランドに次いで多い国なのだそうである。

 それにしても、パリの一等地で日本ブランドのウイスキーだけで店を運営するとは、賭けに近いのではないかと思える。

 例えばそれが、愛国心、あるいは功名心に燃えた日本人が一生の思い出として試みるというのなら分からないでもないが、ジェラルディーヌさんをはじめ、この店の関係者はフランス人なのである。

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