初公判の2日目、裁判所の席に着いたトランプ前大統領(4月16日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

トランプ当時60歳、相手は28歳の不倫

 ポルノ女優ら不倫相手への口止め料支払いを巡りニューヨーク州法違反で2023年3月、起訴されていたドナルド・トランプ前米大統領(77)が4月15日、同州マンハッタン地区地裁(ファン・マーチャン裁判長)で開かれた初公判に出廷した。

 起訴事実は34件。有罪判決が下れば1件につき1年4か月から4年の禁固刑が科される。

もっとも大統領経験者ということで執行猶予付きになる可能性大だと見られている)

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 大統領経験者、しかも大統領再選を目指して立候補している前大統領が刑事被告人として裁判にかけられるのは米建国史上初めてだ。

 ジョージ・ワシントン初代大統領はじめ建国の祖たちは草葉の陰からどう思っているだろうか。

 マフィアのボスならいざ知らず、いやしくもホワイトハウスで4年間政治を動かした人間が17年前に(当時トランプ氏は60歳)、ポルノ女優(当時28歳)やヌードモデル相手に不倫をしていた。

 それが表沙汰になるのを隠蔽するために、大統領選投票日の11日前の2016年10月26日、顧問弁護士に口止め料13万ドル(約2000万円)を払わせ、そのカネを選挙資金から流用していたことを司法当局が突き止め、起訴されたのである。

 そのもみ消し工作が功を奏してか(?)、トランプ氏はヒラリー・クリントン民主党候補を破って当選した。

(落選していれば、とうの昔に起訴され判決を受けていただろう。司法当局も同氏が大統領ゆえに捜査を手控えていたが、2020年再選に失敗するや、積極果敢な捜査を続けていたのだ。その意味では民主党の牙城であるニューヨーク州の州司法長官、検察当局による執念深い「魔女狩り」とトランプ氏がうそぶくのもうなずける)

 もっともトランプ氏の刑事裁判は、これ1つではない。あと3つある。

 連邦法違反では連邦議会襲撃事件の教唆・指示のワシントン連邦裁、機密文書持ち出しのフロリダ州マイアミの連邦裁、それに大統領選挙妨害のジョージア州アトランタ州裁の刑事裁が待ち構えている。