文=酒井政人 

2024年3月30日、クロスカントリー世界選手権U20男子に出場する折田壮太 写真=アフロ

「世代ナンバー1」折田壮太が青学大に入学

 第100回大会という節目を終えた箱根駅伝。新たな時代に向かうなか、今季は例年以上に楽しみなルーキーたちが入学した。なかでも強烈なのが箱根駅伝で〝独走V〟を飾った青学大だ。

 世代ナンバー1といえる折田壮太(須磨学園高出身)を筆頭に、5000m13分台が6人も加入した。折田は昨年のインターハイ5000mで日本人トップ&国体少年A5000mのチャンピオン。昨年12月の全国高校駅伝1区では区間賞を獲得している。

 折田は5000mで高校歴代2位の13分28秒78、飯田翔大(出水中央高出身)は同4位の13分34秒20というタイムを持つ。ともに近藤幸太郎(現・SGホールディングス)が保持している5000mの青学大記録(13分34秒88)を上回っているのだ。なおふたりはU20アジア選手権の5000mに出場。折田が金メダル、飯田が銅メダルに輝いている。

 他にも若林宏樹(4年)の弟・良樹(洛南高出身)、黒田朝日(3年)の弟・然(玉野光南高出身)。それから駿河台大・徳本一善監督の息子・陽(東農大二高出身)が入学するなど、話題は尽きない。

 4月6日の絆記録会5000mでは安島莉玖(大垣日大高出身)が13分48秒45、佐藤愛斗(小林高出身)が13分54秒93の自己ベストを叩き出すなど、1年生パワーが爆発している。

 

順大に3000m障害の高校記録保持者が入学

2024年4月21日、兵庫リレーカーニバル、男子3000m障害決勝での永原颯磨

 青学大に次ぐ〝巨大戦力〟が加わったのが順大だ。永原颯磨(佐久長聖高出身)、川原琉人(五島南高出身)、玉目陸(出水中央高出身)、池間凜斗(小林高出身)と5000m13分台が4人も入学した。

 永原は3000m障害(8分32秒12)の高校記録保持者で、川原は1月の全国都道府県対抗駅伝1区で区間賞。玉目は10000mで28分40秒90を持ち、池間は国体少年A5000mで2位に入っている。

 なかでも最大の注目は永原だ。5000mでも13分43秒03を持ち、佐久長聖高が2時間01分00秒の大会新記録を打ち立てた昨年12月の全国高校駅伝では1区(区間4位)を務めた。大学入学後も順調で、4月6日の順大競技会1500mで3分48秒72の自己ベスト。4月21日の兵庫リレーカーニバル3000m障害では8分37秒36で4位に入った。先輩・三浦龍司選手(現・SUBARU)に続いて、世界の舞台を目指していく。

 

城西大、東洋大、國學院大にも有力ルーキー

 箱根駅伝で3~5位に入った城西大、東洋大、國學院大にも楽しみなルーキーたちが入学した。

 昨年度は出雲2位、全日本5位に入った城西大は5000mで14分00秒前後のタイムを持つ青木丈侑(東農大二高出身)、小林竜輝(鹿島学園高出身)、三宅駿(四国大香川西高出身)らが加入した。なかでも青木と小林は城西大の日本人ルーキーとしては初の13分台ランナーになる。斎藤将也、ビクター・キムタイら3年生に好選手が揃うだけに、1年生世代が成長すれば、来季の駅伝シーズンは昨季以上のインパクトを残すかもしれない。

 東洋大は松井海斗(埼玉栄高出身)、宮崎優(東洋大牛久高出身)、内堀勇(巨摩高出身)が5000m13分台。昨年の全国高校駅伝1区は松井が区間2位、宮崎が同3位に食い込んでいる。エース松山和希選手が残留しただけに、5000mの元高校記録保持者である石田洸介選手(4年)の完全復活があれば、箱根駅伝の優勝争いも期待できるだろう。

 昨年の出雲と全日本で3位に入った國學院大は中川晴喜(藤沢翔陵高出身)、浅野結太(鹿島学園高出身)、尾熊迅斗(東京実高業)が5000m13分台だ。さらに4月6日の世田谷記録会5000mで飯國新太(國學院久我山高出身)が13分台に突入している。近年は高校時代に実績のある選手が入学するようになったこともあり、チームのレベルアップが凄まじい。

 2月の大阪マラソンで平林清澄(4年)が日本学生記録の2時間06分18秒で優勝。3月の日本学生ハーフマラソンを制した青木瑠郁(3年)は4月6日の世田谷記録会10000mで28分02秒00をマークした。学内過去最高レベルといえるルーキーたちの台頭があれば、箱根駅伝の初制覇が見えてくる。

 一方、昨年の出雲と全日本を制した駒大は5000m13分台の新入生が6年ぶりにいなかった。

 

関東インカレで1年生はどう戦う!?

 まだルーキーたちの激突は少ないが、4月27・28日の日体大長距離競技会には多くの選手がエントリーしている。そして5月9~12日の関東インカレで〝本格デビュー〟となる。

 1部5000mは12人のルーキーが出場予定。順大は3人(永原颯磨、川原琉人、池間凜斗)、東洋大は2人(松井海斗、宮崎優)がエントリーしている。それから5000mで13分34秒59を持つ早大・山口竣平(佐久長聖高出身)、3月23日の中大競技会10000mで28分38秒30をマークしている中大・岡田開成(洛南高出身)の走りも注目だ。同10000mは順大・玉目陸、東洋大・内堀勇、中大・七枝直(関大北陽高出身)の3人が先輩たちに挑戦する。

 2部は5000mに留学生を含む8人の1年生がエントリーした。有力どころでは青学大・折田壮太と全国高校駅伝4区で2年連続の区間賞を獲得した駒大・桑田駿介(倉敷高出身)が出場予定。10000mの日本人ルーキーは榎木凜太朗(小林高出身)と山口翔輝(大牟田高出身)の創価大コンビのみ。なお榎木は榎木和貴監督を叔父に持つ選手で、ハーフマラソンにもエントリーしている。

 東京・国立競技場で開催される今年の関東インカレ。1年生のフレッシュな走りを楽しみにしたい。