自国民優先の「人材銀行」、シンガポールで稼働開始

シンガポールのマリーナ・ベイから見た金融街のオフィスビル群〔AFPBB News

 お笑いコンビ、ナインナインの岡村隆史(45歳独身)さんが「フィリピンのおばさんで、お掃除してくれる方がいるんです。洗濯もしてくれて、パンツも小さく畳んでくれる(笑)」と、フィリピン人メイドを雇っていることを明らかにした。

 その効果もあってか、日本でもにわかに注目され始めた外国人メイド。ただ、彼の雇っているフィリピン人メイド(家事使用人)は、日本人と結婚するなどですでに永住権を持ち日本に居住するフィリピン人だそうである。

 日本で展開する家事代行サービス(フィリピン人などを含む家政婦)の一例だが、民間シンクタンクなどの調べでは、日本で実際に家事代行サービスを利用している世帯は、たった2%しかない。

 さらに、外国人メイドに関しては、入管法の縛りがあり、「一般的には」雇用することが現在、禁止されている。

世界ダントツの家事労働時間

 一部、「月額15万円以上の報酬」を支払うことを条件に外交官、あるいは年収1500万円以上の企業幹部、さらには技術者や研究者など高度人材と認可された外国人などには、外国人メイドを雇用することが限定的に認められているだけだ。

 日本は国際的に諸外国に比べ、家事・育児時間が長時間で、OECD(経済協力開発機構)の調べでは1日当たり、女性が299分で先進国の中ではダントツ。一方、男性は62分で最低レベルだった。

 その家事のほとんどを女性が担っており、仕事と家庭の両立を阻んでいる。

 そこでアベノミクスの「新3本の矢」を打ち出した安倍晋三政権は先月、国家戦略特区会議で、2016年3月にも家事支援をする外国人メイドの受け入れを神奈川県で試験的に始めることを決定(大阪府も今後、受け入れ予定)した。

 希望出生率1.8を目標に据え、家庭内の負担を軽減し、子供を持つ働く女性の活躍機会を増やし、経済成長につなげたいとの考えからだ。

 試験運用の需要や効果を見て、今後、全国的に規制緩和を広げるか、最終決定するという。2016年は「外国人メイド特区の開国元年」になりそうである。

 家事支援とは、洗濯、掃除、買い物に加え、一般的な家事、さらには子供の世話までが対象。資格条件は18歳以上で、1年以上の実務経験があり、必要最低限の日本語能力が必須だ。これらの条件を満たした外国人が、政府などが認定した企業と契約を締結した時点で、在留資格が支給される見通し。

 給料は日本人と同額の月15万円以上。しかし、月額15万円をメイドに支払う超富裕層家庭は限定的で、日本の住宅事情からしても初めは「パートタイム」が主流になるだろう。その場合、相場は1時間2000円から3000円で、どちらにしても一般的な共働き世帯には高嶺の花と言える。