AIインフラ投資とコンシューマー製品の競合
現在、世界の半導体供給能力は、データセンターを構築するハイパースケーラー(巨大クラウド事業者)の旺盛な需要に吸収されている。
米メタや米グーグル、米マイクロソフトといった巨大テック企業は、自社のAIインフラ拡充に向け、年間数千億ドル規模の設備投資を継続している。
彼らは圧倒的な資金力を背景に、最先端チップや限られたメモリーの供給枠を他社に先んじて確保している。
この供給枠の独占的な状況は、製造委託先である台湾積体電路製造(TSMC)などの生産ラインが、特定の大手企業によって事実上占有される事態を招いている。
結果として、スマートフォンやパソコンなどの民生品メーカーは部材確保の後手に回り、コスト増という難題に直面している。部材コストの上昇分を価格に転嫁できないメーカーにとって、この状況は死活問題だ。
米アップルの直近の四半期決算では、「iPhone 17」の好調により売上高が過去最高を更新した。一方で、部材コストの上昇は無視できない水準に達している。
稼働端末25億台という強固な基盤を持つ同社でさえ、急騰するメモリー価格を製品価格に転嫁すべきか、あるいは利益を削ってシェアを維持すべきかという選択を迫られている。
影響は、中国をはじめとするAndroid端末メーカーでより鮮明だ。
米クアルコムは、顧客である中国メーカーの一部でメモリー不足による生産計画の縮小が起きていると指摘した(英ロイター通信の記事)。
供給能力不足が、デジタル製品全体の出荷台数の増大を阻む物理的な壁となっている。