2026年2月27日、東京マラソンを前に行われたイベントで、笑顔を見せる鈴木健吾(左)と大迫傑 写真/共同通信社
(スポーツライター:酒井 政人)
一緒にトレーニングをした新旧の日本記録保持者が出場
3月1日に開催される「東京マラソン2026」はエキサイティングなレースが見られそうだ。海外からは2時間3分11秒の自己ベストを持つアレクサンダー・ムティソ(NDソフト)、前回大会を2時間3分23秒で制したタデセ・タケレ(エチオピア)、東京五輪10000m金メダリストのセレモン・バレガ(エチオピア)らが参戦。国内では新旧の日本記録保持者が出場する。
昨年12月のバレンシアマラソンで2時間4分55秒をマークして、自身3度目の日本記録を打ち立てた大迫傑(LI-NING)と、日本人で初めて2時間4分台に突入した鈴木健吾(横浜市陸協)だ。
大会2日前の会見で、ふたりは揃ってインタビューを受けて、レースへの思いを語った。
まずは日本記録を取り返したかたちになる大迫だ。34歳で自己ベストを更新して、今回は過去最短スパンでマラソンを迎えることになる。
「ちょっと短いなかで、どうやって体調を上げていくのか。新しいチャレンジになりますが、シューズも進化していますし、可能なんじゃないかなと思ったんです。やってみると意外と身体の戻りも早かった。非常に良いトレーニングをやってきたので、変に期待せず、自分がやってきたものを出すだけ。そういう割り切った気持ちなので、あらゆる状況、レース展開に対応できるのかな。ただマラソンは蓋を開けてみないとわかりません。ミステリーボックスを開けるような感じかなと思っています」
一方の鈴木は昨年10月に富士通を退社。キユーピーとのスポンサー契約を締結し、プロランナーに転向した。そして1月のヒューストン・ハーフマラソンで1時間0分56秒の自己新をマークしている。
「今までは守られる立場であったんですけど、自分で突き進んでいく覚悟を決めました。たくさんのサポーターのおかげで新たなスタートを切れたことをありがたいと思っています。ただ、やること自体は大きく変わらないですし、トレーニングは比較的順調にこなせているかなと思います。独立して初めてのマラソンになるので、良いスタートが切れるように頑張りたい」
鈴木はヒューストン・ハーフマラソンの後、コロラド州にある大迫の自宅に宿泊。ふたりは数日間、同じトレーニングを積んだという。ともに刺激を受けた様子だった。そして面白いのが記録に関する捉え方だ。
大迫は、「あまり日本記録に関してこだわりはない」そうで、「自分の記録を超えるために努力していくしかないなと思います」と自分の道を極めていきたい考えだ。一方の鈴木は、「日本記録を更新されて、『悔しい』という気持ちが自分のなかにあった。それを力に変えて、頑張りたいなと思いました」と決意を新たにした。
「僕らはファーストベストとセカンドベストの合計タイム(大迫=2時間4分55秒+2時間5分29秒/鈴木=2時間4分56秒+2時間5分28秒)が一緒なんですよ。切磋琢磨する仲間ですけど、数字の点から見ても面白い関係かなと思います」と大迫。タイムの面では互角のふたりが、東京でどんなレースを見せるのか。