目の前の「経済停滞」「治安悪化」「エネルギー価格の高騰」こそが若者の現実
もちろんグレタ氏はいまも活動している。近年はパレスチナ支援運動を展開し、その行動はより直接的な政治闘争の色を強めている。
それに対して、スウェーデンのヨーテボリ・ポステン紙の記事「グレタはZ世代の代表ではない」が指摘するように、多くのスウェーデンの若者は、こうした極端なイデオロギーから距離をおき始めている。
◎Greta är inte representativ för Generation Z
Z世代をはじめとする若者にとっての現実は、抽象的な地球の未来ではなく、目の前の「経済停滞」「治安悪化」「エネルギー価格の高騰」にあるのだ。
右傾化は世界的な傾向だが、筆者が今回、スウェーデンを取り上げるのは、「世界で最も進歩的な福祉国家」としてリベラルの象徴のような国だからだ。いや、正確には「〜だったからだ」と言うべきかもしれない。
昨年6月の記事(「銃声、麻薬、縄張り争い…スウェーデン揺さぶるギャング暴力の横行」)でも取り上げた治安の悪化、さらには行き過ぎた移民政策による社会の分断…。こうした惨状を「リベラルな理想」の失敗として最も痛切に感じているのが、将来を担うZ世代なのだ。
その変化は遠からず政治に反映される。それを暗示しているのが、スウェーデンの民主主義教育の根幹をなす 「スコーヴァル(Skolval)」と呼ばれる学校選挙だ。