友達が笑気麻酔をやっている時の様子も話してくれた。「友達がずっと吸ってたんですよ。意味分からないひとり言をつぶやきながら、前に崩れ落ちていくんです。で、ずっと叩き起こしたんですけど、日本語しゃべれてないし、体に力が入らないから、しに(=めっちゃ)ガタガタ震えてるんですよ。それに、一緒にどこか行くじゃないですか。どこか行く途中で吸ってたら、何で俺ここにいるば? って言うんですよ」と振り返っていた。
「一般的な考え」を少年少女に届けることは困難
取材を通して見えてきたのは、彼らなりの薬物に対する考え方だ。彼らには基本的に薬物を使用することへの抵抗感と罪悪感がない。その大きな理由は、子どもの時から薬物が身近にあり、使用することが当たり前の環境に身を置いていたからだろう。さらにいうと、彼らがその環境から逃れることはできなかった。
それに加えて分かったのは、大人が考えているほど笑気麻酔の使用者は多くないということだった。「沖縄の若者の間で笑気麻酔の使用が広がっている」との報道もあるが、1つのコミュニティに複数人の決まった使用者がいるだけで、「蔓延している」とは言い難い。むしろ、他の薬物と比べて危険だという意識が強かった。
以上の少年少女の率直な言葉に衝撃を受けた読者は多いことだろう。嫌悪感を抱き、事情を問わず厳しく罰するべきだと批判する人がほとんどに違いない。
しかし、「薬物は罪に問われるから悪い」といった一般的な考えを少年少女に届け、納得させるのは困難だ。なぜなら、彼らの方が使用の楽しさも、どれだけ危険かも知っているからである。
なぜ薬物を使用する少年少女が、沖縄に現実に存在し、増えているのか。未成年の薬物問題を本当に解決に導くには、彼らのリアルな言葉を先入観や偏見なく受け止め、彼らの世界観を丁寧に理解する必要があるだろう。