関税の武器化から「規制の武器化」へ
——レポートのキーワードとして、「関税の武器化」から「規制の武器化」への移行も挙げていますね。
菅原:「関税の武器化」は終わったわけではありませんが、ある程度インパクトが見えてきました。それ以上に警戒すべきなのが規制です。
今年1月には中国が日本向けの軍民両用品目の輸出管理を厳格化しました。安全保障、人権、環境、消費者保護…名目は様々ですが、規制によって懸念国の企業や製品を自国市場から排除する動きが、世界中で強まっています。
——米国や中国に限った話ではありませんか。
菅原:EUも、輸入製品の炭素排出量に応じた負担を課す炭素国境調整措置(CBAM)の導入を進めていますし、グローバルサウス諸国でも資源保護や国内産業育成を理由に規制を強めています。関税よりも分かりにくく、しかも突然飛んでくる可能性があります。企業にとっては、こちらの方がはるかに厄介です。
——日本も中国による「(低価格で外国に大量に輸出する)デフレ輸出」への対抗も必要ですか。
菅原:正直、市場原理を無視した価格で過剰生産・過剰輸出をされると、経済合理性を持って経営している普通の企業は太刀打ちできません。
日本政府としても、例えば「アンチダンピング(AD)措置」など、正当な貿易救済策をしっかり使う必要がありますし、安全や環境といった規制も含めて国内市場を守らなければいけません。一方で、企業側としては「いつ、どんな規制が来てもおかしくない」という前提で、影響分析やシナリオを常に考えておくことが重要になります。