羽生さん、スケートリンクに1億円以上の寄付

 経営難や2011年の東日本大震災などによる閉鎖の危機を乗り越えてきた仙台市のアイスリンク仙台では、練習拠点としていた羽生さんがプロスケーターに転向してからも多額の寄付を続けている。

多額の寄付を続けてきたアイスリンク仙台で、練習をする羽生結弦さん(写真は2022年のもの、写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 2月に入ってからも、新たに200万円の寄付があったことが発表され、羽生さんからの出身リンクへの寄付総額は1億円をすでに超えている。

 羽生さんは新たに、同じ宮城県にある「ベルサンピアみやぎ泉」にも5400万円を超える寄付をしたことが明らかになっている。

 このリンクでは構造上の問題から、天井の結露が落ち、リンク上に氷のこぶが発生する問題に悩まされ続けた。滑走する子どもたちの安全面を心配した羽生さんからの寄付金を元手に改修などを行い、製氷機のバッテリー交換などにも活用したという。

日本を「フィギュア大国」にするために

 しかし、稀有な存在のスケーターの善意に頼るだけでいいのか。日本が本当の意味で「フィギュア大国」としての地位を固めていくためには、競技成績だけでなく、国内の練習環境を安定的に維持・整備していくことも大きな課題となる。

 日本は、かつては女子スケーターの人気が圧倒的で、その後に男子が台頭。そして、ミラノ・コルティナ五輪の代表選手らは、羽生さんらが躍動した姿に魅了されて、五輪の舞台を目指してきた。

 次世代の育成、強化、普及を強固なものにしていくには、歓喜に沸いた2大会連続銀メダルの先に未来を見据える必要がある。

田中 充(たなか・みつる) 尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授
1978年京都府生まれ。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程を修了。産経新聞社を経て現職。専門はスポーツメディア論。プロ野球や米大リーグ、フィギュアスケートなどを取材し、子どもたちのスポーツ環境に関する報道もライフワーク。著書に「羽生結弦の肖像」(山と渓谷社)、共著に「スポーツをしない子どもたち」(扶桑社新書)など。