至上命題だったカップル競技の強化
2012年の世界選手権(フランス・ニース)のペアでは、海外を拠点に練習をしていた高橋成美選手が、カナダ国籍のマービン・トラン選手と日本代表として出場し、銅メダルを獲得する快挙を成し遂げる。
五輪での活躍に期待も高まったが、トラン選手が日本国籍を取得するには、日本国内での居住年数などの条件を満たしていなかった。そこで、自民党のスポーツ立国調査会では、ソチ五輪の団体戦出場を後押しするため、国籍変更の特例が議題に取り上げられたこともあった。
その後、日本スケート連盟がカップル競技の選手育成を目的に行っていたトライアウトをきっかけに、男子シングルから転向し、高橋選手とのペア結成に至ったのが木原選手だった。
高橋・木原組は結成からわずか約1年で五輪の個人戦の出場権も獲得。アイスダンスも合わせて、団体戦に4種目とも送り込むことができた。
しかし、迎えた本番では、男子の世界ランキング1位で、個人戦では金メダルを獲得する羽生結弦選手(呼称は当時)が圧巻の演技で男子SPのトップに立ち、日本をフリー進出へ牽引したものの、総合順位は5位にとどまった。
2018年平昌五輪も総合順位は5位のまま。「フィギュア大国」との差を埋めるには、カップル競技の強化が不可避だった。
日本初、五輪に2組のペアが出場!
こうした中で、木原選手が競技に順応してレベルアップ。2022年北京五輪では、三浦選手との「りくりゅう」コンビが団体フリーで2位と大躍進。日本は最終的に、ロシアの失格によって悲願の表彰台に立つ銀メダルを獲得した。
そして、今回のミラノ・コルティナ五輪では、3種目で昨季の世界選手権覇者を擁する米国と最後まで激しい金メダルを争う大接戦を演じた。
2026年ミラノ・コルティナ五輪のフィギュア団体ペアフリーで演技する三浦璃来、木原龍一組(写真:スポーツ報知/アフロ)
2014年ソチ大会では、男子SPに出場した羽生選手しか得られなかった1位ポイントを、全8種目のうち、男子SPの鍵山優真選手(オリエンタルバイオ/中京大)、女子SPとフリーの坂本花織選手(シスメックス)、そしてペアのSPとフリーの三浦・木原組と5種目で獲得した。
カップル競技の中でも、団体戦が実施された当初は課題だったペアは、2番手の長岡柚奈・森口澄士組(木下アカデミー)も今回の五輪出場権を獲得。五輪に2組のペアが出場するのは日本初のことだ。アイスダンスでは、元全日本女王の紀平梨花(トヨタ自動車)が転向し、今後が楽しみにもなっている。