格闘技や団体球技も冬季五輪に?
共同通信は2025年11月の記事で、柔道やボクシングなどの格闘技や、バスケットボールやバレーボールなどの屋内で実施できる団体球技が候補になるとのIOC関係者の見方を報じる。また、競技団体からは非五輪種目の陸上のクロスカントリーやオフロードで行う自転車のシクロクロスをプッシュする声が上がる。
読売新聞の2024年8月の記事では、世界陸連のセバスチャン・コー会長が「伝統的に冬のスポーツであるクロスカントリーは冬季五輪に適しており、五輪に復活させたい。また、アフリカ勢が冬季五輪で活躍する機会を与えてくれる」と会見でコメントしたことが紹介されている。
たしかに、氷や雪という縛りがなくなれば、冬季スポーツと縁のなかった国・地域に参加機会が広がるメリットがある。
スポーツ関係者もかつて、筆者に「ウィンターシーズンに行われているスポーツはたくさんある。雪や氷にこだわらなければ、冬季五輪という枠組みは広がる」と話していた。
ただし、夏季に実施されている競技を移行させることには抵抗も予想され、今後の議論がどう進むかに注目が集まる。
1984年のロサンゼルス五輪は「商業五輪」の始まりとされ、巨額の放映権料や五輪マークを独占的に使用できるスポンサーからの収入で潤い、収益は競技団体へと還元されるスキームが生まれた。IOCも五輪人気によって存在感を高めた。
この結果、先進国や新興国の都市が続々と招致へ名乗りを上げるようになったが、すでにビジネスモデルの確立から40年以上が経過し、世界的に「五輪神話」が崩れつつある現状が浮かび上がる。
温暖化という自然を相手にする冬季五輪は、より深刻な状況に直面している。
田中 充(たなか・みつる) 尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授
1978年京都府生まれ。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程を修了。産経新聞社を経て現職。専門はスポーツメディア論。プロ野球や米大リーグ、フィギュアスケートなどを取材し、子どもたちのスポーツ環境に関する報道もライフワーク。著書に「羽生結弦の肖像」(山と渓谷社)、共著に「スポーツをしない子どもたち」(扶桑社新書)など。


