21世紀終盤に冬季五輪を開催できるのは札幌だけ?

 国際オリンピック委員会(IOC)の調査では、2040年までに冬季五輪・パラリンピックの雪上競技を開催できるのは10カ国に限られてしまうという。

 また、複数のメディアによれば、カナダ・ウォータールー大の研究チームが、2022年に発表した調査では、過去の冬季五輪の開催地だった21都市のうち、今世紀終盤に「公平、安全な状況」で再び開催できるのは、札幌のみだと予測する。

 これらは、雪上競技がもはや、自然環境下で行うことが難しい状況になっていることを如実に表すデータといえる。

 一方で、人工による造雪には、大量の水と電力が必要となり、環境への負荷が懸念される。

 こうした中でIOCが着手したのが、開催時期の前倒しの検討だ。

 朝日新聞2月5日付の記事では、カースティ・コベントリー会長が同4日にミラノのメインプレスセンターで記者会見し、2月上旬から開催されている五輪を1月に、同じく3月上旬から開幕するパラリンピックを2月へ、それぞれ時期を早める案が検討されていることを明らかにした。

開催候補地に “不人気”の冬季五輪

 冬季五輪は気候変動による環境面に加え、世界的な「五輪離れ」によって、不人気ぶりを露呈している。

 フランス・アルプス地方での開催が予定される2030年大会は、そもそもの本命は札幌だった。しかし、2021年東京五輪での組織委員会幹部による汚職・談合事件や、「五輪貴族」と揶揄(やゆ)されるIOC委員の特権的な好待遇ぶりが知れ渡ったことで、地元での支持が伸びなかったとみられる。

 この結果、札幌市と日本オリンピック委員会(JOC)は、東京大会開催から約2年後の2023年10月に招致を断念。それ以前にも、スペインのピレネー・バルセロナ、バンクーバーが地元住民や州政府の反対で招致を取りやめていた。

 夏季、冬季に限らず、開催都市に名乗りを上げる動きは、活況とはいえない。

 振り返れば、東京が招致を決めた2013年9月のIOC総会では、イスタンブール(トルコ)、バルセロナと激しい三つ巴の争いが展開された。

 しかし、夏季五輪の2024年パリと2028年ロサンゼルス、冬季の2030年、2034年ソルトレークシティーでの両大会も、それぞれ過去に例がない同時決定となり、「開催地決定は原則7年前」という決まりもなくなった。

 背景にあるのは、開催都市が負担するコストへの懸念だ。

 ミラノ・コルティナ大会が大半で既存の施設を活用し、複数都市が初めて大会に名を連ねた分散開催としたIOCの柔軟な姿勢にも、コスト抑制の狙いがある。