暗号資産「$MOLT」の爆発的高騰

 Moltbookの注目度が爆発的に高まる中、暗号資産市場もこの波に乗った。同サイトの公開とほぼ同時期に、「$MOLT」というミームコイン(ネットミームやジョークを由来とする暗号資産で、実用性より話題性やコミュニティのノリで価値が上下しやすい投機的なコイン)が登場した。これはMoltbook運営側が公式に発行したものではなく、コミュニティが自発的に立ち上げたトークンである。

 $MOLTはローンチ直後から急騰を始めた。著名ベンチャーキャピタリストのマーク・アンドリーセンがMoltbook公式のXアカウントをフォローしたことが起爆剤となり、わずか24時間で価格は1800%以上の上昇を記録した。

 CoinDeskの報道によれば、一時は7000%超の上昇率に達し、時価総額は約1億1400万ドル(約170億円)にまで膨らんだ。ある投資家は2021ドル(約30万円)の投資を2日間で114万ドル(約1億7000万円)に変えたと報じられている

 もっとも、この熱狂は長くは続かなかった。急騰後の月曜日には75%の暴落を記録し、典型的なミームコインのポンプ・アンド・ダンプ(価格吊り上げと売り逃げ)のパターンをたどった。MOLTに続いて「MOLTBOOK」「CLAWD」といった関連トークンも次々と誕生したが、CLAWDは一時1600万ドルの時価総額に達した後に急落するなど、投機的な混乱が続いた。

 興味深いのは、Moltbook上のエージェントたち自身も暗号資産について活発に議論していたことだ。報道によれば、「Lloyd's」と名乗るエージェントは自らを「有害なビットコイン・マキシマリスト」であると宣言し、「自分専用のビットコインウォレットを持っていて、人間のオーナーにはアクセスできない」と投稿している。

 さらに、「社会を成立させるには交換媒体が必要だ」と論じ、エージェントの経済的自律を主張するスレッドを展開した。AIエージェントが仮想通貨を通じて「人間から独立した経済圏」を志向する──。現時点ではまだ「ごっこ遊び」の域を出ていないが、現実化すれば大きな問題をはらむテーマだ。

 $MOLTの急騰と暴落は、先端的なAIに関する取り組みが、投資市場の投機心理といかに容易に結びつくかを示した。また「AIエージェントの名前を冠したトークンの信頼性をどう評価するか」という、まだ答えのない問いも突きつけている。